PSYCHO-PASS

□さようなら
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計画を聞いた。

面白そうだから、北陸にも家を買った。

現場に着いて行きはしなかったけど。



「はっ、は……はぁっ」



広大な大地を歩く。

走ってみたり歩いたり。

全く進んでいる気がしなかった。



そして着いた。



「……」



遠くからでもわかった。



「……狡噛慎也」



知っていた。



「狡噛慎也だぁ……ふ、くく、くくく」



みんな死んだのだろう。

連絡もつかないし、生体反応が動いていない。



死んだ、か。



それよりも今は、やっとナマで見られたあの人間に気分が高揚していた。

ああ、どうしようどうやろう。

わくわくする。

















歩いていた。

戦いの末、彼もまたそこそこに負傷している。


足取りは重い。

土を踏み、蹴って、また踏む。
こんなに辛いものだとは。


ふらつく頭を振る。


爪先が地面に引っかかった。


重たい音の後に鈍い痛み。

さっきまで冴えていた感覚はアドレナリンのせいだったらしい。


一度、休もう……



「あの……大丈夫ですか?」



覗き込んでくる顔。
女性。ということはわかった。


血が抜けて、頭が冷えてきた。
冷静、ではなく。
あまり良くない方向に。


彼女はきょとん、としたあと、俯いた彼の身体を見る。

だらだらと流れる血に、目を見開いた。



「酷い傷……手当てしなきゃ」
「自分でやる。有難いが……っ!?」



彼女の腕が脇に潜り、ぐっと肩を組まれる。



「怪我人は黙っててください。行きますよ」
「いや、……」



立ち上がらせようと引き上げてくる。

女の腕のどこにこんな力があるのだろうか。


再度断ろうと口を開くが、



「犯罪者さんですか?」
「……」
「当たりです?大丈夫、うち、スキャナーないし同居人もいませんから。嫌いなんです」



矢継ぎ早に、言い訳のようにさらさらと告げられて断る理由がなくなってしまった。
というより体力と共に気力も失せてきた。


意味がわからないまま立ち上がり、覚束ない足取りで一歩踏み出す。



「……何なんだ」
「怪我してる人に色相なんて関係ないでしょう……あ、ちょっと……お兄さん!お兄さん!?」



足を踏み込んだ途端。

ぐらぁ、と視界が回った。












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