GS2 × GS3長編(完結済)

□恒例
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「美奈子」
「佐伯くん。おつかれ」
「疲れてない。……なぁ、昨日やばいやつと一緒にいたって噂になってたのおまえだよな」
「やばいやつ……?」



おつかれという挨拶にまで屈折した返し。
変わってない。

耳元でこそこそと囁かれて首を傾げる。



「……あっ」
「心当たりあんのかよ!」
「えーと、若王子先生の知り合いの生徒さんで……うーんと」
「ふーん?金髪バイクのはば学生がね……」



うわぁ。友達のいない佐伯くんにまで話が回っている。
ってことはもうみんな知ってるな。
流石大学……噂が早い。



「佐伯くん次授業?」
「ゼミ終わって帰るとこ。おまえは」
「授業終わって帰るとこ」



目を合わせると、自然と門へと向かった。

高校の頃はいちいち一緒に帰らない?と言っていたのを思い出す。
懐かしい。



「おまえどの辺住んでんだっけ。引っ越した?」
「はばたき駅前。海じゃない方」
「あっちか。……駅前からはちょっと外れるんだけどさ」



携帯をぽちぽちやって、どこかのサイトを表示させてわたしに突き出した。

お洒落なお店。
……評価の星4.2。全体数も多いのに、高い。



「ここ。今人気らしいんだ。知ってるか?」
「見たことある。行ったことはないけど」
「じゃあさ、一緒に行こうぜ」
「うん。いいよ。敵情視察だね?」
「え?ああ……うん。そうだ」



高校のときよく言われてた言葉を持ち出すと、佐伯くんの目が泳ぐ。
なんか違ったのかな?

時計を見る。
まだまだ日中だ。



「今から行っちゃう?」
「ああ。土日は混んでるらしいぞ」
「大学生の特権だね」



自然と早足になる彼の背中を追いかけた。
相変わらず全然待ってくれないんだから。








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