GS2 × GS3長編(完結済)

□初めての
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柄にもなく緊張してた。
何話せばいいんだろう?服ヘンじゃないかな。髪はねてないかな。……なんて。

早めに出て、ぶらぶら歩いて駅につく。



「あれ、……?」



遠くで見覚えのある金髪の男の子が倒れた人を見下ろしていた。
周りには人だかり。

……どう見ても、その男の子が暴れました、って感じで。


さっと背筋が凍る。
喧嘩だ。暴力事件だ。

琉夏くんがやったの?



「琉夏くんっ!」
「……?」



走って近づいて、声をかける。

据わった目がわたしを見た。
冷たい目。


人だかりに突っ込んで、彼の手を掴む。



「美奈子ちゃんだ。おはよ」
「行くよ」
「あ、うん……」



わたしに気づいてへらっと笑う彼に苛立ちながらその場から逃げる。

ちょっと離れて、自販機の影に引っ込んだ。



「何してたの!」
「え?……何だろ」



笑う琉夏くん。
とぼけた顔。

……そうか。
彼の日常なんだ、あれ。

絡まれたのかな。
わたしが知らないだけで、逆に絡みやすいのかな。



「怪我してない?」
「平気。不死身だから」



笑う彼に肩の力が抜ける。

……何言ってるのかわからないよ。ファンタジーだ。



「ハァ……ヒーローとか勇者とか好き?」
「好きっていうか……ヒーローなんだ」
「琉夏くんが?」
「うん。守るよ?」
「……」



返す言葉に迷っていると、掴んだままだった手を逆に掴み返されてぐっと引かれた。



「それより服、カワイイ」
「え?」
「超ストライク。似合ってる」
「ありがとう……あの、手……」



わたしは手から力を抜いた。

でも、琉夏くんは離してくれない。
そのまま下へぶんと振って、わたしを引っ張って進む。



「行こ」



優しそうに笑う彼とさっきの彼。

同じ人に見えなくて、ちょっとぞっとした。






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