GS2 × GS3長編(完結済)

□お邪魔します
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門のところで、久しぶりの顔を見た。



「あれ?オッス」
「赤城くん!レアキャラだ」
「君こそ。今から?」
「うん」
「僕も。何取ってる?」
「情報処理なんたらってやつ」
「へぇ……君いたんだ」
「え?一緒?」
「うん。行こうぜ」



気づかなかった。

大学はフリーアドレスだけど、人間の心理的に同じ場所に席を取ろうとするらしい。ナワバリ意識?
一度気づかないところに座ってたら、そういうものなのかもしれない。

教室に入って、席を見渡す。



「大学生活は順調?」
「どうだろう。まあまあかな」
「僕もまあまあ……じゃ、後でまた」
「うん」



座って電源ボタンを押した。
学籍番号とパスワードを入れる。

暫くするとチャイムが鳴って、退屈な授業が始まった。

……Excelの関数って、一回覚えちゃうと簡単だなぁ。
最初は意味わからなかったし、一斉に埋まるセルを見て感動したけど。


大きな音が鳴った。てれてーてーれーてーれー、って。
ん?

わたしの携帯だ!!



「……わ、わ」



焦って鞄から引っ張り出す。



「切っといてくださいねー」
「スイマセン……」



案の定ちくりと注意された。
……ハァ。

こんな時に誰だ、と思いながら表示を見ると、琉夏くんだった。

一度切って、ショートメールに切り替える。



『ごめん、授業中だから後で』



返事はすぐだった。



『来たんだ。門のとこで待ってる』



……また突然……。



「……ふふっ」



つい笑ってしまった。
何でかはわからない。




……。

…………。


授業が終わって荷物をまとめる。



「美奈子さん」
「ごめん、わたしちょっと……用事できちゃって」
「え?あぁ、そうなんだ。相変わらず人気者だね?」
「そんなんじゃないよ!」



赤城くんには悪いことしたかな。
相変わらず一言多いなぁ、もう。

足早に教室を出て、表門へと向かった。
門っていっぱいあるけど、多分前もいたところ。



「美奈子。ゴメン。大学ってさ、高校と授業の時間、違うんだな?」
「いいよ。……バイクじゃないんだ。こんにちは」
「うん。目立つだろ?あっちに停めてきた。エライ?」
「えらいえらい。よしよし」
「あ、それいい……」



ひらひらと手を振る琉夏くん。

駐輪場へ向かう。



「行こう」
「今日はどこ?」
「俺の家」
「……はい?」



サラッと言うから理解が遅くなる。



「前言ってた、えっと、ダイナー?」
「うん。オマエに見てほしい」



家。

高校生のお家に?
わたしが?



「で、でもわたし」
「コウいるかな……まぁ、テキトーに話合わせて。ヘーキ」



駐輪場から出たところでちゃちゃっとわたしを後ろに乗せて、バイクが走り出す。

ヘルメット……ハァ。もういいや。

せめてと思って顔を隠す為に背中にくっついた。









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