GS2 × GS3長編(完結済)

□みずたまり
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「プール行きたいんだ」
「あの公園のとこにある?」
「そう。行こうよ」
「水着持ってない」
「買いに行こう」
「え?売ってるかな。冬だよ?」
「探したらあるよ。多分」



なんて琉夏くんが言うから。

日曜公園通りにやってきた。



「ほら、あった」
「あっちゃったかぁ」



冬なのに。
きっと近くにプールがあるからだ。

わたしより先にどんどん進んで、あれやこれや胸辺りに当てられる。

なんとなく種類と柄で琉夏くんの好みがわかってきた。
かわいい系だ。ナチュラルな女の子っぽいの。へー。

水着って好み出やすいよね……。



「これカワイイ。試着して?」
「……」
「で、見せて」
「……えっ?あ!」



ってぼーっとしていると1つ持たされて背中を押されて、試着室に押し込まれた。
いつの間に……!

着なきゃだめ?ってカーテンをちょっと開けたらすぐ前に琉夏くんがいて。
だーめって閉じられてしまった。

持ってなかったから別に、いいか。
いい機会だし……?


服を脱いでハンガーを外して着てみる。

……当たり前だけど露出が多い。
こんなの下着と変わらないよね!?何でみんなあんなに堂々としていられるの?



「……見せるの?これ。ほんとに?」
「開けていい?」
「あ待って、開ける。開けるから!」



言いながらカーテンの端っこが持ち上げられたのでまた慌てる。

ひとつ呼吸をして覚悟を決めた。
そー、っと開ける。



「ど、どうでしょうか……」
「……!」
「あの、琉夏くん?入って閉めないで?ちょっと」



無言で内側に入ってきた。怖い怖い!


口に手を当てた琉夏くんにじろじろ見られてつい後ずさる。



「スゲェいい。決まり」
「あんまり見ないでよ……」
「あ。何で隠すの。こんなにカワイイのに」
「うぅ」
「後ろの紐シュッて外してぇな……抱き締めていい?」
「ダメ!パーカーも買う」
「えぇ!もったいない」
「出てって!」
「いでっ」



外に出ると、さっき投げつけたわたしの鞄を肩に下げた琉夏くんが待っていた。
なーんかニヤニヤしてて気持ち悪い!


宣言通りパーカーと一緒にお会計してお店を出る。



「値札切った?」
「え?何で」
「何でって。今から行くんだ」
「い、今から!?」
「うん。早くちゃんと見たい」



また後日だと思ってた。

手を引っ張られて流されモード。
あっという間に温水プールに着いた。


着替えたら集合って言われて更衣室へ。

……初めて来た。
こんな感じだったんだ。

ちゃんとあったかい。
流れるプールと、向こうにスライダーが見える。テラスもあるみたいだ。
結構広いし楽しそう……!



「やっぱスゲェカワイイ。眩しい……」
「……ホントかなぁ」
「何でそんなに自信ないの?俺ずっと言ってるのに」



何でって言われても。ねぇ?

琉夏くんは珍しく髪の毛を結んでいた。新鮮。髪色も相俟ってちょっとパイナップルみたい。
肌、白いなぁ。
筋肉もあるし手足も長い。スポーツできそう。
こういうのを美形っていうんだろうな。絵になるっていうか。



「る、琉夏くんもカッコいい、よ?」
「ホント?ありがと♡」
「慣れてる……」
「あ、試された?ヒデェ」



先にシャワーを浴びて、遂に水面に足をつける。

ぬるま湯がまとわりつく感覚。



「……温泉みたい」
「美奈子って泳げる?」
「うん。泳ぎならまかせて!」



プールサイドに座っていた腰を落とすと、胸のあたりまで浸かってしまった。
水流に負けないように縁に掴まる。



「いいね。人魚だ。マーメイド」
「人魚……?」
「なぁ、このまま流れてどっか行っちゃおうか」
「楽しそう。行こうっ」
「あ〜」
「れ〜」



ぱっ、と2人で手を離した。









何気なく上げた手が柔らかくなっていた。
皮膚が水分を吸っている。

水があったかいからお風呂みたいで眠たくなっちゃいそうだ。



「ふやけそう……」
「疲れた?」
「ううん、大丈夫。……えい」
「うわっ」



琉夏くんに向かって、手で掬った水をかける。

不意打ち。
思いっきり顔に当たった。



「あはは!」
「……仕返しだ!」



犬みたいに頭を振ってから前髪をかきあげた琉夏くんが不敵に笑う。

……!



「……、わぶッ」
「あれ?ゴメン」



……ちょっとドキッとして、向かってきた水を顔面に受けてしまった。

衝撃と一緒に水中に潜る。



「大丈夫?」
「ぷはぁっ」
「……見とれちゃった?」
「そんなこと!……ないでもない」
「どっち」
「こともなくはない……」
「素直じゃない子にはコチョコチョだ。待て!」
「わぁっ!やだーっ!」



散々逃げ回って後で気づいたけど、ちょっと周りの目が痛かった。







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