GS2 × GS3長編(完結済)
□予感
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ゼミ終わり。
みんなでルーズリーフを覗き込んでいた。
「まぁ段取りこんな感じでいいよね。あとは寄せ書きとケーキと花束と飾り付け。分担しよ。予算はこんくらいかな?」
「色紙買ってくりゃいい?」
「ありがと、ついでにクラッカーとかフーセンとかも」
「私はケーキ行こっかな。やっぱアナスタシアかなぁ」
「わたし花屋さん近いし花束買うよ。好きな花とか知らない?」
「いっつもネクタイ紫だし紫色ーおじいちゃんだし?」
「テキトーだなぁ」
担当教授のおじいちゃんの誕生日を間近に控えて、ゼミ生全員で軽くお祝いしようって話になった。
今度のゼミ前に仕込んでお披露目だ。
……花束かぁ。
やっぱりアンネリーだよね。良いところだし。
番号を調べて電話をかける。
「はい。花屋アンネリーです」
「あ、すみません。花束のお任せでご相談をさせていただきたく。誕生日用で」
「お誕生日用の花束ですね。かしこまりました。ご予算とお相手の好きなお色や種類がございましたらお伺いします」
店員さんはすぐ出てくれた。
慣れた感じでハキハキと聞いてくれる。
「えっと、予算は3リッチ以内で、紫色でまとめてください。おじいちゃんなので落ち着いた感じで」
「……」
メモでも取ってるのかちょっと間があった。
さっき他の子が言ってた通り、教授はいつも紫のネクタイをしてる。柄は違うけど。好きなのか拘りなのかはわからない。
おしゃれに見えるんだよね……おじいちゃんなのに元気だし。背筋も伸びてる。
あんな歳の取り方したいなって思う。
「かしこまりました。特にご指定の花はございませんか?」
「いえ。お任せします。受け取りは来週の火曜日にお願いしたいのですが」
「かしこまりました。お名前とお電話の番号をお願いします」
「えっと……小波で、番号は」
「やっぱり。美奈子だ。俺」
店員さんの声のトーンが変わって、わたしの口から、へっ?って変な声が出た。
この声!
「琉夏くん!?あ、そっか、バイト……」
忘れてた、バイト先アンネリーだっけ。
木曜日だし。そっかぁ。
思いがけない知り合いの登場にびっくり。
さっきの間、もしかして気づいてたのかもしれない。
「オシゴトモードで気づくの遅れた。番号は携帯?」
「わたしも……うん。番号はね、」
「知ってる。ソラで言えるよ?……えっと。ご注文ありがとうございました。来週の火曜日ですね。お待ちしております」
へぇ。
ちゃんとしてる……。
慣れてるし、結構長いのかもしれない。
「よろしくお願いします。失礼します」
「失礼いたします。ちゅっ」
「わっ」
またびっくりして携帯を耳から離した。
「……もう」
通話を切る。
ちゃんとしてたな……。
意外な一面を見たって感じ。
「終わった終わった。飲み行く人ー」
「はーいはーい」
「行くべや」
「行くー!駐輪場どこ置いた?」
「東。正門で集合」
「タバコ行こ」
……さ、わたしは帰ろうかな。
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