GS3長編 設楽聖司×お嬢様(完結済)

□求めよさらば与えられん
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「聖司さま」



いつも以上に控えめな声で美奈子がドアをノックした。



「来ると思った」
「あの、……」



開けると、美奈子が俯きながら胸の前で大事そうに薄い冊子を抱えている。



「……これが、聞きたいです」



そっと設楽に渡すと、今にも泣き出しそうな顔で彼を見上げた。



「これだけは、お家から持ってきましたの」
「書き込みすぎだろ……読めないぞ」



開いてみると、想像通りの譜面。
古ぼけた紙に数々の練習の跡が記されている。



「まあ、なんとかなる。ちょっと待ってろ」



美奈子は静かにソファーの端に腰掛けた。


何度かフレーズを試しに弾いて、楽譜を捲った。

何年も前の記憶が蘇ってくる感覚。
4年か5年かそこらなのに、ずっと昔のことのように思える。



「よし」
「……!」








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