PSYCHO-PASS

□酩酊
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水を汲んで戻ると、男は涼しい顔でグラスを傾けていた。



「まだ飲むの」



自分の声が思ったより随分と重たくて、酔いの回りを再確認する。
眉間辺りが浮ついて、身体が熱い。

隣に腰掛けると、首に手が伸びてきた。
名無しさんよりずっと冷たい体温が押し付けられる。
それでもいつもよりは少し温い。



「熱いな。終わりか?」
「……飲む」



挑戦的に笑う狡噛に名無しさんはつんと言い放った。
負けず嫌いが滲み出る。

溶けた氷もそのままに、机の上の瓶を掴んで傾けていく。
小気味いい音と共に琥珀色が注がれた。

はい乾杯、と彼に向けて、唇をつける。



「飛ばしたな」
「征陸さんに注がれたら断れないって」



打ち上げのような夕食とは名ばかりで、実際はただの飲み会だった。

縢は早々にリタイアしたし、真面目な常守、ほろ酔いの六合塚カップルは日付が変わる前に帰った。
説教が始まった征陸は追い出され、潰れた宜野座と、平気そうな狡噛、家主の名無しさんが残されている。


嚥下すると、存在感の塊みたいな液体が食道を通過していった。
重くて熱くて、それだけで頭がくらくらする。


グラスを置いた瞬間、照明が遮られた。
ぐらりと身体が傾いて、倒れこむ。



「……ギノさんいるよ?」
「ああなったら朝まで起きない」



死んだように眠る宜野座が向かいで倒れていた。
序盤の征陸の煽りに負けたらしく、一番最初に声が聞こえなくなった。
吐くでもなく喚くでもなく静かにフェードアウトするのは彼らしい、と名無しさんは思う。

ソファーのクッションを後頭部に感じながら、狡噛を見上げる。
ワイシャツの衿あたりを見つめた。

この男も、素面に見えて随分やられているらしい。

鍛えた人間は代謝の良さ故にアルコールに弱いと聞いたことがあるが、真偽はよくわからない。
そんなことを考えながら、名無しさんは彼の頬に両手を添えた。
指先で唇をなぞると、軽く噛まれる。



「やっぱり大分熱いぞ。大丈夫か」
「大丈夫。どきどきしてるだけ」
「…………ほぉ?」
「なに」
「いや」



口角を上げた狡噛が背を屈め、名無しさんの肩口に顔を寄せた。
あ、と押し返す前に首筋に歯が当たって、そのまま齧り付かれる。
甘い痺れのような痛みも、呆けた頭では鈍く感じた。

思い出したように肩に手を添えて引き剥がそうとするが、逆に強く抑え込まれる。
指を絡め取られて、顔の横に押し付けられた。

狡噛のもう片方の手が名無しさんの服の裾を引っ掻き腰を掴んだ。



「ね、ギノさん」
「ん?ああ、いたな」
「馬鹿」



ふは、と熱い笑いが漏れる。
向かいのソファーの客人はお構い無しらしい。

首筋にくっきり付いた歯型をなぞるように舌が撫でて、名無しさんの背筋が震えた。
這い上がるもどかしさに吐息が漏れ、眉を寄せる。



「あ、」



裾から狡噛の手が侵入して、脇腹から肋骨をするすると撫でていく。
そのまま上り、名無しさんの胸を鷲掴んだ。
強く握り込まれてそのまま下着越しに先端を押し込まれると、胸から脊椎に甘い痺れが駆けていった。



「……あー」



くわん、と名無しさんの脳が揺れる。
先程のウイスキーが血液に溶け込んだらしい。


じくじくと身体の奥が熱を持つのがわかる。自然と腰が揺れて、脚で彼の腰を抱き込んだ。

掴まれた手を振り解く。
覆い被さる彼の腰を弄って、覚束ない指先でベルトを緩める。



「急ぐなよ」
「やだ。いれて」
「……おい」



諭すように額に唇が触れたが、名無しさんは聞かない。
柔らかく弾力のある太腿で狡噛の腰を挟みながら、掌で下着越しのそれを扱くように撫で摩る。
彼の言葉とは裏腹に熱く、痛いくらい張り詰めていた。
名無しさんはその感触に喉を鳴らしてしまう。



「だめ、お願い。えっちしよ」



荒くなる息も抑えずに溶けた脳で訴える。
潤んだ目で狡噛を見上げ、片手を彼の後頭部に回して引き寄せた。

熱い唇が触れる。
性急に舌が触れて、ぬるついた粘膜が擦り合わされる。



「……は、ギノがいるんじゃ駄目なんじゃないのか」
「いい、見せる」
「勝手に飛ぶな、おい」



名無しさんの頬をぺちんと叩きながら、これは完全に明日忘れてるな、と狡噛は思った。
……思いつつも、彼女の腰を持ち上げてスカートをたくし上げる。
ぐしゃぐしゃに湿った下着に指をかけて下ろした。



「……あ、かっこいい、すき」



とろんとした目で名無しさんがあはっ、と笑う。
彼女の顔の横に肘をつき、頭を抱え込むように覆い被さった。
本気で力を込めたら頭蓋骨くらい潰せそうだと思いながら腰を揺らす。
ぐずぐずに蕩けた秘部が熱く張った自身と擦れて、くちゅりと音を立てた。

早く早く、と名無しさんが押し付けてくる。



「無理だろ」
「大丈夫、はやく」
「あ、おい」



待ちきれないらしい彼女の手が下に伸びて、それを掴む。
反り返った自身の根元を握り、先端を中心に擦り付けながら腰を浮かせた。



「あ、ぅ」



ちゅぷりと先を飲み込んで、すぐにつっかえる。
まだ手で触れてすらいないそこは狭く、いくら濡れていても進入を拒んでしまう。

眉を寄せて唇を噛む名無しさん。
くいくいと腰を浮かせながら、馴染ませるように押し込んでいった。

熱い粘膜が擦れ、ざらついた中に飲み込まれる。



「ぁ、はいった、っ」
「……力抜け。キツい」
「私なんもしてな、あ、ぁっ!」



動いてもいないのに、名無しさんがびくびく震えて背を反らせた。
中が更に収縮し、痙攣する。

ぐ、と狡噛が息を飲んだ。



「あ、ぁっあっんぐ」



ずろろろ、と引き抜いて、思い切り突き込む。

叫びに近い声を上げる口を掌で塞いだ。
もう片方の手で名無しさんの首を掴み、力を込めた。



「っ、ふ、ぅう、んんん」



苦しそうに呻く彼女。
目に溜まった涙が、色付いた頬を濡らしていく。

突き上げる度に湿った音が響いた。

手に力を込めて頚動脈を締めていくと、名無しさんが熱い息と共に笑う。
只でさえ血液で膨張した脳が更に疼いて、目の前がちかちか点滅してくる。



「ぷは、ぁっ、きもちぃ、もっと、っ」



アルコールで鈍くなった感覚。
全部重たい痺れに変わって、脊椎を駆け抜ける。

ぐぢゅぐぢゅ中を掻き回されて、上側の良い所を擂り潰される。
腰の奥で痺れが弾けた。
か細い声を上げて名無しさんが狡噛に抱き付く。



「〜〜〜ッ、……!……!!」



びくびくと身体を震わせるが、容赦なく突き込まれる彼の自身に意識を無理矢理引き戻された。
内臓を押し上げられるような感覚。
視界も滲んで、回る意識は忙しない。



「あ、っ」



ずん、と奥まで貫かれて、やっと解れてきた中の奥が下がってきているのを自覚する。
引き抜かないままずりずりと押し付けられ、悲鳴のような声を上げた。

首を絞めていた手が解かれる。
一気に血液が放流されたようにクリアになる。



「上来い」



身体を起こした狡噛に向かい合わせに座ろうとすると、ぐるりと反転させられて羽交い絞めにされた。

眠る宜野座が見えて、忘れていたと思わず名無しさんは笑った。



「こっち……?」
「見せるんだろ」
「あ、待って、待っ、〜〜〜っ!」



身体を捩る前に腰を打ちつけられる。
肩も腕も組み取られて動けない。

後ろに狡噛の息遣いが聞こえて、テーブルを挟んだ向こうのソファーに宜野座の寝顔が見える。
脚を閉じようとしても力が入らなくて、秘部を曝け出したまま漏れる声を抑えるしかできなかった。



「ぁぐ、これ、これっ」
「ん?」
「いいとこ、擦れる……っだめ、きもちぃ、」



後ろから仰向けに近い体制のせいで、上側のざらざらした部分を直接突き上げられている。
中から秘核を押されているような感覚。

起きたら見られるという興奮も、拘束された痛みも、全部が快感にすり替わっていった。

ぶる、と背を反らせて名無しさんがまた上り詰める。



「……は、ぁあっ」



深いところが弾けたせいで、身体に触れる全てが気持ち良いものになっている。


狡噛が名無しさんを羽交い絞めにしていた腕を解いて、腹部を抱き込む。
もう片方を膝裏から回して結合部に触れた。



「っ、だめ、」
「好きだろ」
「すき、好きだけどっ……!!」



腹部に回った腕が胸に触れて、先端をぎゅうぅっと捻り上げる。
同時に結合部のぬるつきを塗りこむように秘核が擦られた。
とん、とん、と下から突き上げる動きも止まらない。



「だめ、だめっ、いくいくいぁぁあっ!!んぐ」



びくん、と大きく身を捩った瞬間、口を塞がれる。
ふー、ふーっ、と鼻から息が漏れた。

結合部の上を押し潰す彼の指も腰の動きも止まらなくて、名無しさんはただ余韻の痙攣に身を任せる。



「ぁが、」



口を塞ぐ手が頬から顎を撫でたかと思うと、ごつごつした指が唇を割り、歯列をなぞって舌に触れた。
顎を開くように掴まれる。
舌を弄ぶ指を名無しさんは甘く噛んで吸い上げた。



「……んんん?」
「あ、」
「っ!」



目の前の監視官が身を捩る。

びく、と硬直する二人。



「……んん」
「……」
「……」



沈黙。

寝返りを打ち、宜野座はまた寝息を立て始めた。


狡噛を振り返る名無しさん。

かち、とまたスイッチの入った音がした。














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