GS2 × GS3長編(完結済)

□出会い
2ページ/9ページ










……本当に、お喋り、って感じだった。



「じゃあ、先生はここで。気をつけて」
「はい。さよなら」
「……」



手を振る先生に振り返す。

懐かしいな。
高校の恩師と大学になってからも定期的に会えるっていうのは、市内進学組の特権かもしれない。
はね学で教えながら一流でもって、すごいなぁ。やっぱり。


振り返る。



「どうだった?」
「……」



んー、と考える。

じっくりゆっくりした間。



「……やっぱ変な人だ。ヒムロッチとは別タイプ」
「あはは!その先生会ってみたいなぁ」



氷室先生だっけ。
名前だけは聞いたことがある。
わたしが在学中からだから、ずっとどこか印象的な先生なんだろう。



「じゃ、行こう」
「え?どこに」
「単車。目的地はテキトー」
「……ヘルメットあるよね?」
「ないよ」
「じゃあダメ」
「ええ……ノリ悪い」
「ノリとかそういうのじゃなくて……もう!」
「あ」
「ん?」
「やっぱ似てる……」



坂道を下るようにどんどんテンションが上がっていっている。彼のエンジンがかかってきたのがわかる。
何でかは全くわからない。
人見知りとかそういう類じゃない。

つん、と彼の唇が尖って、更に上目遣いになってわたしを覗き込んできた。



「じゃあ、番号教えてよ。ダメ?」
「え?どうして?」
「またここに来たら連絡する。建物わかんないんだ。今日も迷った」
「……なるほど?いいよ」



若王子先生の番号は知らないのかな。

わたしは携帯を開いて番号を読み上げた。



「……」
「わ、」



直後、震えて着信音が響く。



「……ホントにかかった」
「疑ってた?」
「うん。……ありがと、ーーーちゃ、ん……?」



知らない名前でわたしを呼んだ。

あ、と彼が固まって、失敗したという顔をした。
目が泳いで、軽く唇を噛む。

あの子の名前だ。きっと。



「……間違えた」
「大丈夫、気にしてないよ」
「……うん。ゴメン」



……なるほど。

わたしは彼の好きな子に相当似ているらしい。







次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ