GS2 × GS3長編(完結済)

□北海道に行こう!
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新千歳空港。
そこからまた電車で暫く。

駅の外に出た時、鋭い冷気に包まれた。

……なんというか、レベルが違う。



「うっわ、なるほど……これが北海道……」
「わぁ……寒い!」
「雪降ってる」



顔に落ちてすぐ溶ける雪も、向こうよりずっと大きいのにさらさらしてた。ふわふわだ!

こういうの、違う土地に来たって感じがしてわくわくする。



「ほわぁ……いいなぁ。寒い……あははっ」
「うわっ!」
「危ないな。大丈夫?氷上くん」
「……ふむ。あの人たちの歩きを参考にしよう。現地の人たちが正しいんだ」
「ブッ……マジ?あんな摺り足でシャカシャカ……マジで?」
「確かに足上げなきゃ転ばないとは思うけど……あれはちょっと恥ずかしいな」



横断歩道を歩く地元民の人々を真剣そうに眺める氷上くんが本当に摺り足を始めたのでやんわり止めつつ。
わたしたちもつま先に力を入れながらちょこちょこ歩いた。

まずはホテルへ向かう。



「あ〜、あったかぁい」
「バカっぽいぞおまえ」
「あははっ」
「荷物を置いたら出発だ。また、ここで」



部屋に入ってびっくりした。

……あれ、広くない?
ツインだし、テーブルも椅子もある。

北海道ってこうなのかな、なんて思いつつも足は急いでいて。
入り口に荷物を置いてすぐに出た。



暫く街を歩いてみた。

大きな通りに出て、目立つところに面白い看板があった。
トランプの柄みたいな男性が片手に穀物、片手にショットグラスを持っている。

ウィスキーの瓶のアレだ!



「同じポーズしない?写真撮ろうっ」
「ブラックニッカか。なるほどね?」
「何だい?それは」
「浮かれ大学生……」
「はい、並んでくださぁい」
「先生も入るの!あ、スイマセン!写真お願いしても……」



またぶらぶらして、有名な時計塔へ。



「へぇ。けっこう小さいんだな」
「カワイイね。絵本みたい」
「ものは言いようって感じ」
「ハチ公だってそうでしょ」



屈折してるんだから。


今度はお祭り会場に行った。



「わぁ、すごい!これ、雪像っていうの?はぁあ……」
「すごいな。これは」
「怪獣だ……怪獣がいるぞ。なぁ」
「先生、あれが食べてみたいです。食べる人ー」
「はーい」
「はい!」
「なぁ……写真撮って。怪獣……」
「……ふ、あははは!佐伯くん、入学式みたいな顔してる、ぷ、ふふふっ」
「なんだよ。……いいだろ」



怪獣の横で真面目な顔で写る佐伯くんに暫く笑った。

若王子先生に買ってもらった出店のご飯がおいしかった。



他にもいろんなところを回って、夜。

ちょっといいところにカニを食べにきた。



「カニだ……デカいな」
「わぁ、日本酒飲みたい」
「あ、僕も。地酒っぽいのを是非」
「僕はウーロンハイで」
「俺ビール」
「……僕は烏龍茶だ。すまない」



氷上くんは1人だけソフトドリンクで、居心地が悪そうだった。
気にしなくていいのに!


いっっっぱい食べて飲んで喋って、ぽかぽかしながらホテルへ戻る。

途中で見たことのない系列のコンビニに立ち寄った。



「……ねぇ、気になってたんだけど、わたしの部屋、広いよね?みんなそう?」
「あ、気づいた?いや、他はみんなシングル。一番安いとこ」
「え?じゃあ」



うん?

予約まわりをしてくれたのは氷上くんと赤城くんだったな。
わたしだけ気を遣われてる?



「セイコーマートか……知らないコンビニがあって楽しいな!ふむ」
「コーヒーの発音が違った。コーヒーだったぞ」
「こんなお店が近所に欲しいです。やや!これは……」



こっそりしっかりはしゃぐ3人を横目に、赤城くんが買い物カゴを持ち上げた。



「旅行の醍醐味。みんな、好きなものを入れよう」
「?」
「で、一段落したら美奈子さんの部屋に集合。いい?」
「……なるほど。だから」



要は……

宴会場だ!



「すごいな。弁当がたくさん……君、こんなのもあるぞ」
「もう食えないって。……あ、俺これ」



いくらのおにぎりとか、あったかいお弁当とかがいっぱいあって羨ましかった。
いいなぁ!なんて思いながら、ぽいぽいっと好きなものを入れていく。

……とりあえずボトルと、缶と。
お茶とお水と炭酸水。
紙コップも。



たくさん買ってホテルへ。



しばらくして部屋のドアがノックされた。



「うわっ、広っ!」
「……凄いな。いい部屋だ」



窓の外の写真を撮ったりわちゃわちゃした後、みんなでテーブルを囲んだ。

赤城くんが言う。



「さ、みんな持って」
「はーい」
「はね学とはば学に乾杯!」
「かんぱ〜い!」
「乾杯」



カシュッ、と。プルタブのいい音がした。





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