Happiness

□Happiness3
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新しい部屋に行くために電車で移動して

不動産屋で真新しい鍵を受け取った



新居までは駅から歩いて15分




これまで住んでいいたマンションは

お互いの職場のちょうど中間地点にあって

通勤時間も電車で30分圏内と

割と都心部に住んでいた




何をするにも都合が良いからと

一緒に過ごす時間を少しでも多く持っていたいからという

ルハンの意見だった



確かに利便は良く

駅を降りれば帰りがてら

大体の買い物もできるくらい環境は充実していた




新しいマンションは

職場から通勤1時間位の場所



都心部の喧騒からはかけ離れ

とても静かな環境だ


近所には小さな神社と公園

古くからあるのだろう、立派な桜の気があった



部屋の窓から見えるその景色を見たとき

本当はもっと条件のいい部屋も紹介されていたんだけど

この部屋意外考えられなくて、即決してしまった


桜に惹かれ続ける事が未練がましいかなと

少しばかりの懸念もあったけど

これくらいなら神様も許してくれるだろうと



これからの生活に少しばかりの癒しと勇気を求めたかった






新しい部屋に着いて中を見渡すと

当たり前のように静かな空間が待ち受けていた


1LDKの白を基調とした部屋は綺麗だけど

今は少し物悲しく感じてしまう

2人で揃えた家具も、食器も何もかも

俺たちは持ち寄ることを拒んだ




どうやっても思い出してしまうから

全てまっさらな状態でなければ

きっと進むことができないだろうと思ったから


でも


少しだけ、何か一つでも持ってくれば良かったかなと

苦笑いをしてまう



何もない部屋は

自分の足音すら響いて耳にまとわりつく

音のない空間に耐えられなくて

窓を開ければあの大きな桜の木



満開を迎えて

風がそよぐたびに花弁が舞っていく


風に乗って部屋の中にまで入ってくるその光景に

意識が持って行かれそうになる
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