Happiness

□Happiness1
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初めて出会ったのは高校の入学式の帰り道だった


希望校に合格できたことの喜び、新しい生活への期待

友達作りや、出身校の紹介



そこにいる皆が明るく、賑やかにしていた



俺もそれなりに嬉しかった

頑張って勉強して合格できたし



ただ、いかんせん、結構な人見知りが邪魔をして

初日から結成されつつあるクラスの輪からは一人浮いていたと思う



終日、誰と話すこともなく

ただ今日が終わればいいなと思っていた




入学初日、決められていた席は窓際の一番前

俺の身長を入学前から知られていたとでも言うのか

それにも若干イラつきながら



ひととおりの段取りも終わり、下校時間を迎える中

その賑やかな人々と一緒のタイミングで下校するのは

少し億劫で

一人教室に残りながら

のんびりと窓の外を眺めて時間をやり過ごしていた



ようやく人もまばらになり始めた頃を見計らって教室を出た

駅までの帰り道は川沿いの土手を歩いて15分ほどの桜並木

ゆっくり歩きながら、きっとこの道は

すごく好きになるような気がした

川面に光が反射して、キラキラしている中

桜の花びらが待っていく景色は

とても美しくて



一人の自分を癒してくれる気がして




ゆっくり歩いていた歩をとめて

しばらくその景色を眺めていると

ふと甘い香りが鼻を掠めた気がした




(桜の匂いかな・・・)




でも桜って匂いあったっけ?




すこし不思議に思い

香りに導かれるように振り向くと




大きな桜の木の下に驚く程綺麗な少年が立っていた
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