Happiness
□Happiness3
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あの日
桜の木の下で
ルハンと出会った瞬間
きっと俺は一目惚れをしてしまってたんだと思う
ルハン曰く
先に一目惚れをしたのは自分だと言って聞かなかったけど
懐かしい記憶に
酔いそうになる
キラキラしていたルハン
学校でもすぐに注目の的になって
何人もの人が声をかけるたびに
笑顔で答えていた
でも
その笑顔が
少しだけ引きつっていると
知っているのは俺だけだったし
それが少し自慢げでもあった
そんなルハンとは対照的に
俺の人見知りは相変わらず絶好調だった
ルハン以外のクラスメイトとは
数えられる程しか話したことがない
苦手とか、嫌いとかじゃかくて
緊張で固まってしまう
ルハンは不思議だった
無理に俺に話しかけたりすることはないのに
登校時間には毎朝あの川沿いの道で待っていて
移動教室や、お昼時間も気づくと隣にいて
下校の時も学校を出た先のいつもの道で待っていた
約束をしたわけではないけど
でもいつの間にかそうすることが当たり前になって
気がつけば俺がルハンを待つことも増えていた
自分と違って、クラスメイトとも仲良くできるルハンが
いつまでもこうやって一緒にいることが不思議に思って
一度訪ねてみたことがあった
いつものお昼時間
売店派や持ち弁派、みんなそれぞれ食べる場所は
教室であったり、校内のどこかであったり
持ち弁派の俺は自分ひとりでいられる
お気に入りの場所を見つけていた
3階の一番奥にある、美術室のベランダ
無駄に広くていつも誰もいないから
ひとりのんびりスマートフォンで音楽を聴いたり
小説を読んだり、少しウトウトしたり
そうやって静かに流れる時間が好きだった
でも、それも最初の1週間くらいの喜びで
すぐにルハンに見つかってしまった
翌日からずっとルハンもお昼時間を一緒に過ごすことになった