SERVAMPワンライ小説
□始まりの出会いの少し前
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(腹…減った…)
日向を避けて人通りの少ない路地裏の壁にもたれ掛かって眩しすぎる太陽をぼっと眺めた。一体この町にきてどれくらいたっただろう、猫の姿をした俺は行き交う人びとの誰かから時に哀れみを受けてにぼしや食料をもらったり、時にストレスを溜めた誰かに殴られ蹴飛ばされたり…そんな日々も何処か平凡で自身の日常になっていた。
だけれども腹は膨れないし、痛みも一瞬のことですぐに消えていく。増えるのは喉の乾きと倦怠感ばかりだ。
(だけれど死なねぇなんて…とんだ化物だな…)
そう、俺は猫の皮を被った…吸血鬼という名の化け物。それを知られないように悟られないようにこの町の小汚ない猫として住み着いて溶け込んだ。
『吾が輩は猫である、名前はまだない。』
どこの誰がいった言葉か小説かは忘れたがまさにそんな存在だ。まぁ、沈黙する終焉―スリーピーアッシュ―という通り名はあるがただの化け物でしかない自身に嫌気がさして、バレたらいろいろめんどくせぇから猫になりすます。
俺以外にこのような化け物が俺が知る限り7人はこの世に存在する
オールドチャイルド、ダウトダウト、ザ・マザー、ロウレス、ワールドエンド、オールオブラブ…
罪は違えどおなじ化け物の妹や弟たち。俺はその長男としてそいつらを迎え入れ、まぁそれなりに仲良くやって来た。
………あの日までは
あの日の選択、それによって俺はいつしか兄弟達を避けるようになっていった。あれからあいつらは何処かでうまくやっているだろうか…なんて俺が言える言葉じゃねぇし、めんどくせぇ。
さぁ、そろそろ出発の時間だ。何処か一ヶ所にとどまり続ければ例えただの猫だろうが怪しまれる。そう、俺は…世界が終焉を迎えるその日までこの世をさ迷う。
俺は猫になりすまし、眩しすぎる日の光のもとへと姿を現す…
ドタっ…
(なん、だ…体…動か、ねぇ)
そう、か長いこと血飲んでねぇから…猫以上に体が弱ったの、か?
いや、もういい。考えることすらめんどくせぇ。もういっそここで眠りについて目が覚めたらあの世行きならどれだけ楽だろう。
まぁ…そんなこと許されるわけがないんだろうけどな…
(あぁ…死ぬほどめんどくせぇ…)
「……猫?」
遠退く意識のなか少年の声が小さくけれどもはっきりとまるで眩しい日の光のごとく聞こえてくる。あたたかく柔らかいタオルに包まれて…俺は今そいつに抱き抱えられて何処かへ向かっているらしい…
その少年が俺の正体を知るのは…あともう少し先の話だったりする。
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「って感じでどうだー真昼」
「なんか妙に厨二っぽいな?!というかワンドロ遅れてるぞクロ!!」
「おー遅刻だな…とりあえず第一回目ワンドロテーマ『スリーピーアッシュ』だ」
「最後まで読んでくれてありがとうございました!!」