例えばこんな恋

□First.
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「黒谷先生…また遅刻ですか?
 新米教師だからといって  
 これでは生徒に示しがつきません!」

「は、はい…」

俺はいつもより早めに学校へ向かう…筈だった。
筈、ということは、だ。
だいたい察してくれていると思うがまぁ、まーた遅刻したわけだ…
毎朝の恒例行事と化した教頭からの説教。
これを受けてない日はこの学校に赴任してから片手に収まるくらいだろう。

そんな教頭からの説教を右から左へ聞き流し、職員室にあるホワイトボードの今日の連絡事項を読んで俺は自分の担当する教室へと向かった。

教室へ近づくとガヤガヤと生徒たちの声が聞こえてくる。
俺はこの感じが好きだ。
いつものように教室のドアを開ける。

───ガラッ

「おーっす、お前らー席につけー」

バタバタと席に戻っていく生徒たちがすれ違い様に「おはよう」と声をかけてくれる。

いつもの笑顔で
いつもの挨拶で
いつもの教室……

「じゃないいいぃぃぃ!?」

俺はある一点を見つめて思い切り後ずさりをして黒板に背中を強く打ち付けた

「愁センセー…?どうしたの?」

生徒からは次々に俺を心配する心配の声が聞こえる。
俺はそんなこともちろん耳に入るわけがなく、ただある一点を見つめ続けていた。

その視線の先にいたのは…
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