例えばこんな恋

□Second
4ページ/5ページ


「どう?美味しい?」

にこにこしながら聞いてくる蓮。
俺は蓮の頭を撫でながら美味しいと笑った。
どこでこんな技術身につけたんだろう、そうおもわせる腕前だった。

今日の出来事を話してくれる蓮。
新しい友達がたくさん出来た
とか
俺の授業が楽しかった
とか
沢山話をしながら久々に夕飯がたのしいと思った。

「なぁ、蓮。
 どうしてこっちの学校うけたんだ?
 あっちでもここと同じ偏差値の学校はあったはずだろ?」

俺は今日ずっと疑問だったことを聞いた。

「愁にぃがいるから。」

即答だった。
────たった、それだけの為に?

「あっちにいるっていう、選択肢もあったんだ。
 でも。そうしたら愁にぃに会えるの、いつになるかわかんないじゃん?
 だから、いつも会えるからこっちの学校に通うことにしたんだ。」

「俺に会うために…って事か?」

「愁にぃ、僕の話ちゃんと聞いてた?」

蓮は少し拗ねる振りをして頬をふくらませた。

「そうだよ、愁にぃにあうために来たんだ。」

「蓮……」

まっすぐ俺をみてくる蓮。
胸が苦しくなる。
鼓動が早くなって…
あれ、少し、頭がぼーっとしてきた…

「愁にぃ…?どうしたの?」

蓮が席を立って俺の横に立つ。
そして手を額にあてて熱を測る素振りをした。
蓮の手は冷たくて気持ちよかった。

「愁にぃ、熱あるよ…早く寝ないと。」

俺の額から離れかけた手を掴み、腕を引く。
自然と抱き締められる形になった蓮は俺の腕の中で、おとなしくされるがままになっていた。

「蓮…来てくれて、ありがとな。」

「しゅ、愁にぃ…」

お礼を言って腕を離す。
蓮の顔を見るととても赤かった。
かわいいな、なんて思いながら俺は席を立って蓮の頭を撫でた。

「俺、風呂入って早めに寝るわ。」

そう言って風呂場へ向かおうとするとシャツの裾を蓮に掴まれた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ