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□淋しがり屋
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「はぁーっ…疲れたー…」
横で汗だくになって寝っ転がってるのは遠山愛金。
大阪の強豪校四天王寺のスーパールーキーって言われてる、俺と同い年の女の子。
俺とそいつはセットで「東西ルーキーズ」って言われてるけど俺とこいつの関係はそれだけじゃない。
「遠山…そんなに無防備だと……」
そこまで言って、そいつの耳元でそっと
「襲われるよ」
なんて少し甘ったるい声で囁いた。
そしたらそいつはガバッと起き上がった。幼い顔には赤みが刺していて、拗ねたように頬をふくらませた。
「…いきなりそんなこと言わんで…」
なんて恥ずかしそうに反論してきた。
俺はそんな彼女を見て可愛いななんて思って頬に軽くキスする。
「飲み物買って来る。」
照れくさくて帽子をかぶり直しながらそう言えば後ろからは
「…おん」
小さく彼女の返事が聞こえた。
きっと遠山は俺より顔を赤く染めて俺を見ているだろう。
まあ、これでわかったと思う。俺と遠山の関係。
遠距離だからあまり会えないけれど。だから今日みたいに会える日はなるべくずっと一緒にいる。
暗黙のルール。
だから、早く戻ってあげないと。時間は刻々と過ぎている。
次、会うことができるのはいつになるのか、わからないし。
走るのは嫌いなんだけど、アイツの為だし。
「まあ、悪くないかな。」
End