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□運命の赤い覚悟
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覚悟していた。

ハラリ、と焦げ茶色の自分の髪が地面に落ちてゆく光景を。
今までの人生で、見たことも無いような長さの。


アタシの一番の宝物と引き換えに、ソコに登りつめるつもりだったのに。


「何してんのや!」


アイツの荒々しい声。
いつもの、中学生とは思えないくらい落ち着き払った低音とは、あまりにかけ離れていた。

「お前の自慢の髪やったんやろ!」

無くなる、と思っていた長いサラリとした自分の髪に大きくて冷たい手が触れて。
でも声とは裏腹に、手だけは、ガラス細工の食器を触れる時なんかよりも優しい手付きで。

「髪は女の命や!ましてや、お前の髪はこんなに綺麗なんやで!?そんな大切な物を無下に切るなんて、許さへんで!」


…アタシなんかよりも、悲しそうな顔で言うんじゃねえよ。

くそっ…。

「…激ダサだぜ。」
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