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□生クリームで素敵な誕生日を
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「跡部。」

「何だ、てd」


パアンッ


顔に衝撃が走る。
痛くは無い、全く。
どちらかといえば柔けえ。
でも視界は最悪、インサイトすら使えねえ状態だ。
で、恐らく目の前にいるであろう俺様のお姫様は何を仕出かしてくれたんだ?あーん?

「…おい…手塚ぁ…。」

「何だ?」

このお姫様は本当に無表情だ。声の抑揚もあまりねえから、視界が悪すぎる今こいつがどんな表情なのか、わからねえ。
けれど、心の中はスケスケだ…。
こいつ…。

「何だ?じゃねえよ!」

ぜってえ、楽しんでやがる

「きっと人生初の経験だろう?跡部。」

「当たり前だ…。俺様にこんな事出来るやつなんかお前位しかいねえよ。」

しかも釈然と。怯える素振りも無く。
きっと忍足の心を閉ざす力なんかよりも厄介だ、こいつの無表情。

「てゆうか何だよ、これ。生クリームプレイでもしたくなったのか?あーん?」

「寝言は寝て言え。」

バッサリ切り捨てられた。
まあ生クリームプレイをするなら、俺様がこいつに塗るもんな、塗られる側じゃねえ。
それはさて置き、だ。

「じゃあ、何でパイ投げなんかしてんだよ!お前はどこぞの子供だ!」

「青学の中学三年生だ。即ち、まだ子供の域に入っている。」

「そういう意味じゃねえ!」

いつもは成人に見間違えられる程大人びてるくせに、こういう時はやたら子供っぽい。
そのギャップはたまんねえんだけど、それとこれとでは話しが別だ。

「何でいきなりパイ投げなんだよ!」

「昨日、うちの部で先に俺の誕生日パーティがあってだな。」

誕生日…。
俺の誕生日、一昨日はこいつすげえ可愛かったのに。
今は見る影もねえよ。
そういえば、明日は手塚の誕生日か。

「その時菊丸と越前と桃城がいきなりケーキ投げを始めて、それはそれは部内で壮絶な争いになったんだ。」

…案外お子様じゃねえの、青学。

「俺は見ていただけだったのだが、面白そうだったからな。少し実践してみたくなって…。」

「で、これかよ。」

被害を被ったのは俺なんだが。
青学の奴らにやれよ…。
つかクリーム甘いし、顔洗ってきてえ。

「…駅でいい感じのパイが売っていたから…。」

少し罪悪感はあったようだ。
良かった。
これで平然な態度を取られたら、俺はどうゆう立場で生きていけばいいのかわからなくなるからな。

「…まあ、いい。今回は許してやる。」

手塚の意外な一面が見られて面白かったし。













そのかわり明日は生クリームパイを沢山用意して、ぐっちゃぐちゃにしてやる。

覚悟しとけよ、手塚。



End
 

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