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□赤髪男子物語―丸井ブン太T―
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びしっと空に指をさして

(天気良し!)

鏡の前で無駄にポーズを取って

(コーデも大丈夫!)

チャックをビッと開けて

(金も足りてる!)

今日は待ちに待った。

幸村くんとのデート。



【9:55】



時計を見れば約束の五分前。
本当はもう少し早く来たかったけれど、弟達に邪魔をされちまった…。
帰りにお土産買おう…。
それはさておき。

俺の彼氏はきちっりA型。
時間には厳しいし、もう来てるだろ…。
でも遅れてる訳じゃねえし、別に大丈夫…だと思う!

(つか人いすぎじゃね!?)

待ち合わせの場所の近くは人通りが多くて、背の低い俺は中々近づけない。
あと3分ぐらいしかねえのに…。
もう一つの大きな往来に足を踏み込もうとした瞬間。

力強く掴まれる腕。

「大丈夫かい?」

高めのふわりとした声。
自然な花とガーデニングの土の匂い。
俺の腕を掴む、白くてやや冷たい大きな手。

振り向くと広がる紺色の髪。

「幸村くん!」

俺が往来に流されるのを防いでくれたのは幸村くんだった。
嬉しくって、思わず声を上げてしまった。

「やあ、ブン太。」

クスッ、と笑われた。
は、恥ずかしい…。

「よ、よう…。」

「待たせたかな?」

「全ッ然!」

むしろこっちが待たせたんじゃないか心配してる位だ。

ふいに腕を掴んでいた手が、俺の小さめの手を握って。

「じゃあ、行こうか。」


「うん!」



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