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□赤髪男子物語―向日岳人T―
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ピンポーン
(何だよ…朝から…。寝よ…。)
ピンポーン ピンポーン
(うっせえ…。誰だよ…。)
パタパタと階段を下りて
(これで変な奴だったら通報してやる…。)
ガチャリ
ドアを開けた
【9:30】
「お早うさん、がk「あ、もしもし、警察ですか?」あああああああああああああ通報せんでやあああああああああああああ!」
朝っぱらからの迷惑行為で逮捕してもらいたい。本気で。
ガッと携帯を侑士に取られた…今度は窃盗罪か。
「おい、侑士。真面目に通報すんぞ…。」
「あ、ごめん。ごめんて、がっくん。」
通報されてない事を確認した侑士は、微笑みながら俺に携帯を返してくれた。
くそっ、無駄にかっこよくて腹が立つ。
「で、何だよ。休日だってのに…。こんなに早くに押し掛けて来やがって…。」
「ああ。それなんやけど、岳人。」
ニッコリ。
そんな効果音がついてきそうな、微笑み。
…………嫌な予感しかしない。
「デート、しようや。」
パタン
とりあえずドアを閉めて…
「ちょ、閉めんで!」
朝だから力が出ない。
すぐに侑士に開けられてしまった。
「何だよ…俺は眠いの!」
「じゃあ、あと1時間待ったるから!なぁ、デートしようや。」
何なんだよ!
いつもは馬鹿みてえに大人ぶってるのに、
何で今日だけこんなに駄々こねてんだ!?
ああ、もう…!
「…ったく、わかったよ!してやるから!」
シーンと静まった朝の住宅街。
不本意にも、俺の高い声が響く。
朝からこんなに叫んで、後で隣近所に何を言われるかはわからないが、致し方ない事…だと思う。
「よっっっしゃあ!ほんなら、俺ここで待っとるから!ほな、早う準備してき!」
さっきと言ってる事、違くね?
でも、『行く』って言っちまったしな…。
しょうがない…。
「…わかったよ。」
―めいいっぱいゆっくり準備しよ…。
そう思いながら、木でできた階段を登っていった。