鬼灯の冷徹
□だった。
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「今日の満月はとてもいいですね。お酒を嗜むには絶好です。」
「だろう?わざわざいい酒出してきたんだから。」
「恩着せがましいですね。」
「いつもの事だろう。」
「そうですね。何時もそうでした。」
「四六時中みたいに言うなよな。」
「おや、自分から言ったでしょう。」
「わかったよ。悪かったよ。」
「貴方はいつもそうですね。そうやって、博愛から逃れられないのでしょう。だから、嫌う事もできないのでしょう。」
「ああ、そうだよ。僕は神様だからね。博愛さ。…でも、」
「…でも?」
「お前のことは、特別だったはず、なんだけどなあ。」
「はず、ですか。そうやって何時もぼやけた様に言うから。」
「何時もそうだったな。でも、もう今となってはそうとしか言えないんじゃないのか、お前も、僕も。」
「そうでしょうかね。私は、貴方の事が好きでしたよ。」
「僕だって、そうだったさ。」
「おや、先程とは打って変わって。」
「酒が、回ってきたんじゃないのか。」
「ふふ、そうかも知れませんね。」
(出来ることなら、その笑みをもっと見ていたかった。)
(私と貴方では、好きに解釈の差がありましたね。)