PandoraHearts

□体力と限界と
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「ゴホッゴホッ…」
咳が出る。力を使ったから。
マッドハッターはかなり力を使う。そして、寿命を削っていく。
身体を蝕む病魔のように、刻々と、一刻と。
最近は吐血することも少なくはなく、服を汚すことがしょっちゅうだった。
「ゴホッゴホッ、ゴホッ……ハァ…。あ、また汚してしまいましたネ…」
手も、服も、赤く染まる。赤く、紅く…、
深く沈みそうな思考を振り払い、服を取り替える。
血に染まった服は洗おうと、中途半端に着替えた、シャツだけの姿で風呂場に行く。
サァァ…
シャワーを流しっぱなしにして、シャツを洗う。
血は落ちづらい。石鹸を付けて、お湯に浸し、しばらく洗ってやっと色が薄くなってきたかと言う時、急に風呂場の扉が開け放たれた。
「ブレイク、何し……うわぁあ!?」
いきなり入ってきたのは、ギルバート。何をしていたと思っているのか、派手に驚いていた。
「オャ、ギルバート君。なんで風呂場のドアを堂々開けといてそんなに驚いてるんですカ?
襲いにでも来たのカト思いましたよ?」
少々呆れ顔で、からかうように自分が言う。
「いや、そんな姿だとは…せめて下を履け、下を!」
真っ赤になりながら、可愛い恋人は言う。
だって君が来るとは思いませんでしたカラ、と言えば、当たり前だ誰にもまだ言ってない、と返される。
当たり前のように、平穏で、愉しい会話。
気持ちが、心が、満たされるーーー。
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