雑木林
□鬼灯さんが捕まっちゃう話。
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「ほお、ずき」
お願い、死なないで
君が眠るには、まだ早いよ
まだ、僕は、君と
喧嘩していたい。
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その日は、鬼灯の現世視察日だった。
珍しく、視察へ行く前に僕の店へ顔を出した。
だから、現世服だった。
スーツ姿、よく似合う。
「珍しいじゃない、そんな格好で、しかも行く前に立ち寄るなんてさ、。」
「まあ、なんだか寄りたくなりました。…少々、嫌な予感がするので…。」
「ん、お前も?僕もなんか今日は朝から変な感じって言うか、嫌な気がするって言うか。」
朝、珍しく早く目が覚めたこともだが、寒気というか悪寒がした。
こんなこと、吉兆の権化の僕には珍しいことなんだけど。
最近あった珍しいことで、2番目だ。
…ちなみに1番目は、僕の神力の籠った御札を買っていった子が居たことだね、なかなかの体つきしてt「おい白豚、今何か変なこと考えていたでしょう」
「いだだだだだい痛い痛い!!!」
…なにはともあれ、きょうはなにかへんなよかんがしたんだ…
…超痛え
「痛いよ鬼灯…もしかして今日の嫌な予感ってこれかな…」
「それを言ったら私の予感は何なんでしょうね?」
「うーん、現世で何かあるのか…?」
「…それはちょっと不気味ですね。」
「現世のことだからな…。」
こんなことをグダグダ喋っていたって、原因はわからないし、鬼灯も忙しい。
「おや、少し居るだけのはずが、長居してしまいました。あなたも忙しいでしょうし、そろそろ私は行きますね。」
「そんなこと気にすんなって。まあ、お前も忙しいと思うから、特には何も言わないけど、強いて言うなら、
今日の夕飯は、お前の好きなもの作って待っててやる、ってことだ!」
あああー恥ずかしかった、これだけ言うのにどんだけの気力と勇気を総動員したか、あいつはきっと分かってしまっているんだろう。
だから、あんなに余裕たっぷりの顔して。
「行って来ますよ、白澤さん。」
あんなこと、言ったくせに。
帰ってくるって、言ったくせに。