雑木林

□ちびちゃんと
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本丸の中で朝が早いのは6人程いる。
まずはジジイ面子、三日月、鶴丸、鶯丸である。
次には料理当番、歌仙や燭台切が起きる。
そして最後に、長谷部が起きてくるのだ。

******

今日は珍しく、歌仙が寝坊しているだろう。
何やら昨夜は遅くまで仕込んだらしい、「光忠、明日は頼んだ…」と言い残し、倒れるように布団へ寝てしまった。

そのことを思いながら、燭台切は布団の中で目を覚ました。
今日はなんだか暖かいなあ、起きやすいや…と思いながら身を起こそうと、もぞりと体を動かすと、何故か柔らかな感触があった。
「…!?」
一体何が、いつの間に自分の布団へ侵入したのか。まさか長谷部君、僕に奇襲を―?などと、少々恐ろしく思いながらも布団をめくると―、

果たしてそこには、小さくなった自分と、同じく小さくなった長谷部が寝転がっていた。

暫く思考が付いていかず、ただただ口を開け、固まっていたが、布団をめくられ明るくなった気配に二人が
「ん…んう…?」
と目を開き、自分を見て一言、
「…母上…?」
「おはよござま…」
と言った暁には大声で叫んでしまっていた。

「うわあああああああああああああああああ!?!?!?!?!?」

朝の本丸に響いた悲鳴(?)に、元より起きていた者達はもちろん、数名が目を覚ましたようだった。

ドタドタと足音を響かせ、声を聞いた者達は走り寄ってくる。
「燭台切!燭台切!?何かあったのか!!」
先頭は長谷部であり、寝間着姿である。
その後に孫が心配なジジイ達、さらに江雪などもいた。

「燭台切っ!!」
すっぱりと戸を開けた長谷部だったが、光忠の姿を見るなりぎしりと体を固めてしまった。
それを見た他のもの達は、固まった長谷部で部屋の中が見えず、一体何があったのか、と気が気ではない。

そのうち燭台切が、
「あ、の…えっと、み、んな、ごめん…、ちょっとあとで話すから、寝ていていいよ…?」
と切り出した。

好奇心旺盛な刀剣達をなんとか部屋へ返すと、部屋には燭台切と長谷部だけとなった。

「光忠」
「ぁえっ…はい…」

長谷部は固まった思考のまま、燭台切に聞いていた、

「お前いつの間に産んだんだ」
「違うよ!!!!!!!!!!!!!💢まだ寝ぼけてるの!!!!!💢💢」

長谷部の調子はずれな質問に、ついつい怒りをあらわにしてしまう燭台切だったが、いきなりの大声にびくりと肩を震わせた小さな自分たちを見ると、眉が下がってしまう。

「あっごめん、違うよ…、」
「母上、怒ってませんか…?
「うんうん、怒ってないよ。」
「父上と喧嘩ですか?」
「父っ…!?」

どうやら燭台切は母上、長谷部は父上のようである。
小さな燭台切からそれを聞いた燭台切は、僕は男なんだけどなあ、と困ったようにまた眉を下げた。

「父上」
「んっ…!?あっなっなんだ」

長谷部は不器用な性格も相まってか、小さな子にどう話しかければいいか分からないようだ。
だが、燭台切から見れば不器用が二人であり、これは面白いことになりそうな予感だ…、と一人くすくすとしているのであった。

「父上」
「父上ー」
「おい、これはどうすればいいんだ、」
「ぶふっ!!!!!!!」

そんな不器用さんは小さな子に集られて、さっそくどうすればいいかわからずおろおろしていたのであった。
思わず噴き出した燭台切を恨みがましい目で見ながら、長谷部は主や刀剣たちにどのように報告するかを考えていたのだった。

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