雑木林
□国家からの離脱
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―プロローグ―
その施設は、我が国家が、我が国家の繁栄のため作った施設だった。
戦闘に必要な強靭さ、痛みを感じない躯、感情もない…、そんな、都合のいい生体殺戮兵器を作り出す為に作られた。
俺は、そんな国家を護り、その施設を監視する―、軍の人間だった。
今まで疑問も感じなかった。
反感も抱かなかった。
実験なんて知らなかった。
国家が全てだった。
でも、
本当は全部、
心のどこかで解かっていた。
だから、俺はあの日も、何かから逃げるように、その場を後にしたんだろう。
知りたくなかったから。
理解したくなかったから。
自分を正しいままで思っていたほうが楽だから。
だから、理解したとき、
国からも逃げたのだろう。