clap log
□clap log 111〜120
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ロー誕コラロver
胸焼けしてしまいそうな甘い匂いが部屋に充満していた。
見た目は綺麗に飾りつけられたケーキだが、匂いが異常だった。
「コラさん…、これは…?」
それはケーキにしか見えないのだが、もしかしたら違うものなのかもしれない。
そう考えたローは思わず聞いてしまったが、コラソンはケーキだと言う。
だとしたら、この匂いの原因は何だろう。
不思議なことに料理に関しては、コラソンは見た目も味も昔からローの好みに作ってくれている。
いや、味の好みがコラソンと似てしまったというのもあるだろう。
梅干しだけは絶対に口に合わないのだが。
「すまねェ、ロー。ドジッた…」
コラソンが言うにはバニラエッセンスを振りかけると、何故か中蓋の取れていたバニラエッセンスが一瓶全て生クリームの中に入ってしまったらしい。
取り敢えず最後まで仕上げてみたと、ケーキがテーブルに置かれて今に至る。
歳の数だけ差し込まれたローソクは密度が高い所為でなかなか消えなかったし、吹き消した後のケーキは穴だらけでローは何とも言えない気持ちになった。
そしてこの匂い。
毎年コラソンの手作りケーキで誕生日を祝ってもらっていたローだが、今では微かに香っていた甘い匂いが思い出せなくなっている。
確か美味しかったはずだ。
パンが嫌いな自分たち2人だが、コラソンが作るケーキだけは美味しく食べられたと、そう思う。
「ま、まあ食おうぜ、ロー」
「あァ…」
ガラスの小皿に切り分けられたケーキをフォークで更に小さく切り取り、ローはそれを口に運んだ。
コラソンもローと同じようにケーキを食べる。
「「う…っ…」」
次の瞬間、コラソンとローは用意していたオレンジジュースを一気に飲み干した。
「甘いのに苦ェ…」
「苦いのに甘ェ…」
生クリームの甘さとバニラエッセンスの苦さが口の中で微妙なハーモニーを奏でている。
それと同じように鼻腔に残るバニラの匂い。
はあはあと口だけで息をしながら、残しては勿体ないのでケーキを一口食べてはグラス一杯のオレンジジュースを飲み干していく2人。
全てを食べ終える頃には、腹が一杯になっていた。
来年まで生クリームの類いは見たくなかったが、次のイベントにクリスマスが控えていると考えたローは、胸焼けを起こして思わず口を覆ってしまう。
呼吸を整えたコラソンはローを抱き上げてソファに座る。
「口直しだ…」
ローを膝の上に乗せたままコラソンは口づけ、深いキスを繰り返していった。
「ロー、誕生日おめでとう。来年はちゃんとしたケーキで祝うからな」
苦笑を浮かべるコラソンに、ローは笑い返す。
来年の今日も愛しい人の隣にいられることを嬉しく思いながら。
普通にバカップルするコラロだと思った方、残念!←笑
甘いのかギャグなのか解らんようになってもうた…