clap log

□clap log 121〜130
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ハッピークリスマス!







 暖炉の温もりが更に眠気を誘うらしく、子供の頭はこくりこくりと揺れている。

 ソファの横でその存在を主張するクリスマスツリー。

 ツリーの近くには手作りのクッキーも用意してあるというのに。



「まだ来ねェ…」



 サンタクロースはまだ姿を見せない。

 湯気を立てるココアを一口飲んで子供が呟くと、その子供を挟むように両隣に座っていた大人は楽しそうに笑った。



「フッ。いい加減に寝たらどうだ? もう22時だぞ」



「そうだぞ、ロー。それに、起きていたらサンタは来ねェぞ?」



「うるさいよ、ドフィ、コラさん。まだ寝ない」



 ガキはとっくに寝てる時間だと笑うドフラミンゴとコラソンに、ローは拗ねたように吐き捨てる。

 ローはどうしてもサンタクロースを捕まえたかった。

 本当に欲しいものがあったからだ。

 そのプレゼントさえ貰えれば、これから先のクリスマスプレゼントはいらない。

 それほどまでに欲しいものがあるのだと、どうしても伝えたかったのだ。



「なァ、おれにもそれ飲ませろよ」



 ローは2人が飲んでいるシャンパンを見つめる。



「ダメだ。ガキにゃまだ早い」



「飲みたい」



「おとなしくココア飲んで早く寝ろ」



「コラさんのケチ!」



 だったらと、もう1人の男を見上げたローに、ドフラミンゴは口端を吊り上げた。

 棚から角砂糖とブランデーを取り出し、スプーンの上で砕く。

 砕いた角砂糖にブランデーを垂らしたドフラミンゴは、部屋の明かりを落として角砂糖に火をつけてやった。



「見てろ、ロー」



 さらさらと音を立て、炎を纏った角砂糖がローの飲んでいるココアに振りかけられる。



「きれい…」



 マグカップの中の炎が覗き込んだローの顔を照らす。

 炎が消えると、暖炉の灯りとクリスマスツリーに飾られたイルミネーションが部屋で輝いていた。



「少し酒を入れてやったから、それを飲んでおとなしく寝ろ」



 寝た子の所にしかサンタは来ないものだとドフラミンゴが諭してやれば、ローは仕方なしに燃えてアルコールの飛んだただのココアを飲んだ。

 サンタクロースには手紙でも書いておけばいいだろう。

 眠気がピークにきているローは、目を擦りながらコラソンに部屋まで送ってもらい、大きなベッドに潜り込む。

 ベッドの中で手紙を書き、大きな欠伸をひとつしたローはすぐに眠りに就いた。

 深夜、日付が変わった頃に、ドフラミンゴとコラソンはローの部屋の扉を開けた。

 足音を立てないようにしてベッドに近づき、あどけない顔で眠るローを見つめて微笑む2人。

 その姿は普段と変わらず、サンタクロースの格好ではなかったが。



「お前、最後まで欲しいもの言わねェんだもんな」



「コラソン、ローからの手紙だ」



「んー? 『サンタクロースへ。おれはドフィとコラさんとずっといっしょにいたいから、2人をおれにください』って…ロー…」



「フッフッフ…」



「ずっと一緒にいるに決まってるだろ」



 幸せそうな寝息を立てるローの頬にキスを落としたドフラミンゴとコラソンは、紛れもなくローだけのサンタクロースであった。










よいクリスマスを!
 
 
 
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