リスのコラさんとハムスターのロー シリーズ
□リスのコラソンとハムスターのロー 番外編
1ページ/1ページ
「コラさん、おれ、外に出てみたい」
お天気のいい午後のこと、コラソンからお昼ご飯を食べさせてもらったローは、巣穴の外を見て言いました。
ヒクヒクと鼻を動かしたコラソンは、磨いていたドングリを置いてローを抱き上げます。
「しっかり捕まってろよ」
コラソンに抱き上げられたローは背中に移動して、コラソンの尻尾に座って小さな手で背中を掴みました。
「いくぞ!」
器用に巣穴から出て下りるコラソンのふさふさの尻尾は、ローが振り落とされないように背中を包んであげています。
木の枝を渡って上ったり下りたり、コラソンはローを背中に乗せたまま一軒の家の前まで来ました。
「魔女ばあさん、ナッツくれよ」
半分以上食べられてボロボロになっている家は、甘くて美味しそうな匂いがするお菓子の家でした。
コラソンの声を聞いたお菓子の家の魔女は、割れたクッキーの扉を開けて、しわくちゃの顔を覗かせます。
「おや、久し振りだね。ナッツかい? ちょっと待ってておくれよ」
引っ越しても引っ越しても、三匹の犬が家を食べにやって来て、もう疲れたと言いながら魔女はコラソンにナッツと、ローに焼き立てのクッキーのかけらをいくつか持たせてくれました。
魔女の愚痴を聞いたローは、ルフィやその兄弟たちを思いだします。
生まれ育ったヒマワリ畑は、今どうなっているんだろう。
泉で休憩して、コラソンと一緒にナッツとクッキーを齧っていると、女の子たちの声が聞こえてきました。
「信じられない。あの仕立て屋、よくも騙したわね」
「今度、火であぶった鉄の靴を履かせて、うんと懲らしめてやらなきゃ!」
「それなら、最近私が育てているきのこや花を勝手に食べて、大きくなったり火の玉を飛ばしている兄弟も懲らしめて欲しいわ」
女の子たちはコラソンやローに気づくことなく、泉に向かって銅のコインを投げます。
「アナタが落としたのは…」
「銅のコインよ。だから、銀のコインも金のコインもくださいな」
「………最後まで言わせてよ」
クッキーを齧っていたローは、目を輝かせます。
「コラさん! おれもクッキー落としてみたい」
歩きだすローに、コラソンは笑いながらローを引き寄せて抱きしめました。
「金や銀のクッキーなんか食ったら、腹壊すぞ」
コラソンにキスされたローは、それもそうかと諦めましたとさ。
END