リスのコラさんとハムスターのロー シリーズ

□リスのコラさんとハムスターのローのクリスマス
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 暖かい春が終わり、夏も終わり、秋も去った森は、冬を迎えています。
 白い雪が森だけではなく、地面にまで積もっていて、冬になるとこの森に住む動物たちは、それぞれの家で毎日過ごしていました。
「コラさん。この、ぬくぬくの石とピカピカの羽根、凄いな!」
 リスのコラソンとハムスターのローも、例外ではありません。
 雪が積もっている冬の間は、巣穴である家から出ずに、ずっとふたりきりで過ごしています。
夏と秋の間に貯めた沢山の食糧の他に、お菓子の家の魔女から貰った沢山のお菓子と、泉の女神がくれたぬくぬくの石と、森の小人たちがくれたピカピカの羽根のお蔭で、ふたりの家は食べるものも沢山で暖かく、出入口を干し草で塞いでも明るい家でした。
「外は寒いし、冬の間は昼でも薄暗いからな。ぬくぬくの石とピカピカの羽根があるから、怖くねェだろ?」
 降り続く雪は外の音さえも奪って、ローは雪が積もりはじめてからは、コラソンの声しか聞いたことがありません。
「コラさんがいるから怖くねェ。それに、ヒマワリ畑にいた時より、ずっと幸せだ」
 ローがニッコリ笑うと、コラソンはぬくぬくの石を触っていたローを、尻尾で包んであげました。
「ぬくぬくの石もあったかいけど、コラさんの尻尾もあったかくて気持ちいい」
 コラソンのふさふさの尻尾に包まれていると、ローは幸せな気分になります。
 暖かい尻尾に頬擦りをしたローは、大きな欠伸をひとつしました。
「そうだ。ロー、クリスマスって知ってるか?」
「クリスマス? 栗がどうかしたのか?」
 尻尾の中で眠ってしまいそうなローを抱き寄せたコラソンは、ふっくらしているローの頬を撫でてあげます。
「栗じゃねェよ、クリスマス! クリスマスってのは、一年に一度、サンタクロースがプレゼントをくれる日だ」
「サンタクロース?」
 ローはコラソンの言葉に、こてっと首を傾げました。
 コラソンはローの知らないことを沢山知っています。
 いつもコラソンから聞くローの知らない話はとても楽しく、クリスマスもサンタクロースも、きっと楽しいものだと思いました。
「コラさん、サンタクロースって、何だ? どうしてプレゼントをくれるんだ?」
 冬になって外に連れて行って貰うことの出来なくなったローは、まだ知らない外の世界の話を聞きたくて、目をキラキラと輝かせます。
 コラソンはお菓子の家の魔女から貰ったクッキーを取ってきて、クッキーを手に持ちながらローの隣に座りました。
「サンタクロースってのは、妖精のじいさんでな。他の妖精たちとすっげー遠い雪の国に住んでるんだ」
 その雪の国は毎日が寒い雪の日で、サンタクロースは仲間の妖精の他に、トナカイと一緒に暮らしているとコラソンは言います。
 サンタクロースはクリスマスにプレゼントを配る為に、大きな氷の城で妖精たちとおもちゃ造りをしていて、クリスマスの日になると、空を飛べるトナカイのそりに乗ってやってくると教えてあげました。
「そうだ。靴下を準備しておかなきゃな」
 コラソンは宝物入れにしまっていたふたつの靴下を出して、ひとつをローに渡してあげました。
「コラさん。これ何だ?」
 靴下を受け取ったローは、初めて見る大きな靴下を見て不思議そうにしています。
「サンタクロースは、この靴下にプレゼントを入れてくれるって言われてるんだ。ローの分も小人たちに貰ってきたから、一緒に置いておこうぜ」
 今年は何が貰えるんだろうと言って楽しそうに笑うコラソンに、何もかもが初めてで解らないことだらけのローは、      コラソンの靴下の隣にローの靴下も並べました。
 ふたりで仲良くクッキーを食べたローは、うとうととしながら、コラソンの尻尾に抱きつきます。
「ロー。もう寝るのか?」
 尻尾に抱きついて目を擦るローはとても眠そうだったので、コラソンはローを抱き上げて干し草のベッドに寝かせてあげます。
 小さな額にチュッとキスを落としてあげると、ローが幸せそうに笑ってコラソンの鼻先にキスを返しました。
 コラソンはローを優しく抱きしめて尻尾で包みます。
「おやすみ、ロー。明日、一緒にプレゼント見ような」
「おやすみ、コラさん。今日もいっぱい大好きだった」
 眠る前にもう一度、ふたりでキスをします。
朝起きたら、一緒にプレゼントを見ようなと約束をして、コラソンも眠りました。
 次の日の朝も、おはようのキスで目を覚ましたコラソンとローは、干し草のベッドの横に置いていた靴下が膨らんでいることに気づいて、嬉しそうに靴下の下に向かいました。
「メリークリスマス! サンタさん、ありがとう」
「メリークリスマス? おれも、ありがとう」
 コラソンの靴下には赤い帽子が、ローの靴下の中には白い帽子が入っていました。
 ふたりは帽子を被って嬉しそうに笑い、プレゼントの奥に入っていたクッキーでクリスマスのお祝いをします。
「子作り、頑張らなかったから、赤ちゃん貰えなかった。今日からでも子作り頑張って、来年はいっぱい赤ちゃん貰おう」
 コラソンにきつく抱きしめられたローは、ドキドキしながら頷いて、帽子を深く被って赤い顔を隠しました。





END

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