七つの殺意の器

□第3章
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王宮の中は人で溢れていた。
もちろん、全員が魂となった者達だ。
こんなに多くの魂がいるとは思っていなかったので、僕は思わず面食らってしまった。
ここにいるのはかつて王宮に仕えていた者達だけではなさそうだった。見覚えのない顔もいくつかそこにあった。ここは王国崩壊後、観光名所にもなっていたので、僕の生きていた時代とは違う人々もいるのかもしれないと思ったが、皆の服装を見る限りそういう訳でもなさそうだ。
彼らの来ている礼服やドレスは、まさに王国時代によく見かけたそのままであったのだ。
「やあ、莉央君じゃないか。久しぶりだね!」
誰かが僕に声をかけてきた。聞き覚えのある声だ。
振り向くと、そこには立派な身なりをしたくせ毛の男がいた。
「将脩殿…」
「懐かしいなぁ。上で君だけは全然見かけなかったから、ずっと心配だったんだ。…もしかしたら『冥界』の方に堕とされたんじゃないか、ってね」
優しく微笑む彼は商業連合総帥の切手将脩。かつてこの李楓王国が飢饉に陥った時に助けてくれ、また革命時には革命軍を援助した男だ。
「そういえば将脩殿。どうしてここに?他にも多くの人が集まっているようですが…」
「ああ、僕は娘達の付き添いで来ただけなんだ。今日はね_」
その時だった。
「アラー、莉央!ここにいたのネ。どこに行ったのかと思ったワヨ。全然人手が足りてないノヨ。理々火もどこかに行って帰ってこないし。早く来て手伝いなサーイ」
「み、美衣。何でここに」
「いいから早く来なサーイ」
相変わらずの怪力だ。
僕は美衣に引きずられるようにして大広間の外に出た。
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