時神の三角形

□第6章
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「そういえば莉央、何で旅行だって嘘ついたの?」
「嘘ついたとは人聞きの悪い。便宜上そう言った方がいいかなと思ったからだよ。今の私たちの状況を説明しても絶対わかってもらえないだろうし」
「あ、そうか…」
「大体ここはゲームの中なんだから変に正直なことを言ったら矛盾が生じるかもしれないでしょ。そこら辺は慎重にいかないと」
そうして話し合いながら歩いていると、少年が不意に足を止めた。
「着きました。ここです」
宿屋は赤煉瓦の屋根にクリーム色の壁、焦茶色の扉を備えた建物だった。
「おっきい、ですね…」
「宿屋というより洋館って言った方がしっくり来ますね」
『超能力者(エスパー)』と『修道士』が口々に呟く。
「とりあえず、今日はこの辺り周辺を散策したりして休んでください。恐らく長い道のりになるでしょうから。もし散策するなら、今お祭りをやっているのでそれを見るのも楽しいと思いますよ。その間に僕は丘に行くまでの間にある宿を調べておきます。あぁ、僕まだ名乗っていませんでしたね。僕は『星夜』です。どうぞよろしくお願いします」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
慌てて一同が返した時には既に少年、いや星夜の姿はなかった。
「…動き早っ」
「激しく同意」
一同、驚きの経験。
「あの〜、皆さん。そろそろ中に入りません?」
『道化師』が遠慮がちに言った。
「あ、そうでしたね。じゃあ、中に入りましょうか」
Mr.Forestを先頭に、一同は宿屋の中へと入っていった。
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