夢幻の黄金比率

□第1章 
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「もう、どうして今日学校に来ないといけないノヨ!」
鬽衣が怒っている。
「仕方ないでしょ。お呼び出しされたんだから〜」
波瑠がいさめる。
まあ、鬽衣が怒るのももっともだ。今日は冬休み、しかもクリスマスなのである。
「そういえば、今日冬期講習が午後からあるんだけど、終わってから行っても間に合うかな?」
梨絵が思い出したように言う。
「それはわかんないけど。というより私、お呼び出しされた理由をまだ知らないんだけど。誰か知ってる?」
「知らな〜い」
「私も」
「知らないワ」
「まじすか…」
全員に否定されて比奈はうなだれた。
「そういえば比奈、君の相棒は?」
「相棒?あぁ〜、あの人はね…」
どん。
地面が傾いた。―いや、比奈が傾いた。
「アラ、おいでになったワネ」
「おはよ〜、莉央☆」
莉央が比奈の背後に颯爽と立っていた。
「ちょっと何で私の靴踏むの!?痛いじゃん!」
比奈はご立腹だ。
「ごめん、わざとやった」
「じゃあ仕方ないね…って違う!それ確信犯だよね!?」
「しかも比奈倒れかけてたし」
波瑠が笑いながら突っ込む。
「笑ってる場合じゃないよぉ〜」
比奈が膨れた。
そうして騒いでいるうちに、正門に着いた。
前に涼香と京子が立っている。
「お早う。気分はどう?」
「まあまあ」
「上々かな」
「相変わらずだね」
「眠いワ」
「最悪だよ…」
涼香の挨拶に応える5人。
「うん。見たらわかる」
「…(じゃあ訊くな)」
険悪な雰囲気が漂う。それを破るように
「あ、そういえば今日呼び出された理由知ってる人誰かいない?私、知らないんだけど…」
京子が言った。
「どっかで同じ質問を聞いたけど」
「みんな知らないっぽいよ?」
比奈が投げやりに言う。
「えっ?…じゃあ」
全員お呼び出しの内容を知らない。
「救いようがないね☆」
「とか言ってる場合じゃないし。どうするの?」
波瑠が全員を見回して訊く。
「ん〜。とりあえず…」
「任せるワ」
「頼んだ!」
頼まれたのは…
「私かぁ〜」
梨絵だった。
「う〜ん。まあ、ここにいても何も始まらないからとにかく事務室に行ってみよう。…誰かいるといいけど」
「またまた、ご冗談を(ブルブル)」
一同はのんびりと正門をくぐって行った。
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