七つの殺意の器

□第4章
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碧林国にある海晶の町を毒薬「FK」で壊滅させた女、箕崎鬽衣。
彼女について語るなら、当時暗躍していた犯罪組織「AMEBA」の事は切り離せないだろう。

鬽衣はAMEBAのメンバーだった。
「三番目の眠らせ姫」_それが彼女の通称だ。

彼女は夫の愛を受けていなかった。それは同情すべき事なのかもしれない。
しかし、それ以前に彼女はとっくに壊れていた。
鬽衣が「FK」を作り、皆を「眠らせ」た事…様々な理由が考えられるが、本当は彼女自身に理由などなかったのかもしれない。

むしろ、「FK」を利用しようとしていたのはAMEBAの方だった。
彼女の夫、友人もまた、AMEBAに属する人間であり、野望を抱く彼らにとって「FK」は大層魅力的に映ったのであろう。

鬽衣の終焉は『殺意の器』によるものではなかった。
本来、その役目を担うはずであった器は既にAMEBAの長「一番目のアメーバ」の手の中にあったからだ。
鬽衣は結局、自らの作った「FK」で自らを終わらせた。
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