七つの殺意の器

□第3章
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僕達は王宮のあった場所に立っていた。
「John。千年樹にわざわざ戻らなくても移動できるんだったら最初からそうして欲しかったんだけど」
「ごめんごめん。忘れてたんだ。まあ、次からはこのまま移動できるからいいじゃないか」
全く、どこまでも呑気な奴だ。
僕の目の前には大きな宮殿がそびえ立っていた。緋瑩公爵や鏡音嬢の屋敷とは比べものにならないくらい立派なものだ。
李楓王国が崩壊して共和国になった後も、この宮殿は破壊されずに残された。最近では観光名所にもなっていたようだが、世界が崩壊して無くなった。
僕のかつての住処。
僕がかつて召使いとして過ごした場所。
「懐かしいな…」
思わず呟いていた。僕が素直に時神の命に従って器集めをしていたのもこうして此処に来るためだった。
この宮殿の主である彼女に_。
僕の双子の姉、梨絵に会うために。
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