DREAM

□ずっと
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こうやって手を繋いで帰るの最後かもね。











名前は泣きそうな笑顔で呟いた。




明日、名前は東京の方へと引っ越す。





お父さんの急な転勤でね、東京に引っ越すの。
引っ越すのが嫌なわけじゃないけど、一くんと離ればなれはやだなぁ。
寂しいけど、泣かないよ?
あっちでもちゃんと友達つくるし、一くんだって連絡くれるんでしょ?
なら、大丈夫だよ。
一くんが泣きそうな顔してどうするの?
私、泣かないから。





頬を涙で濡らしながら、1ヵ月ほど前に彼女は俺に言った。

泣いてんじゃねぇかよ。

そう言って拭ってやった彼女の涙の温度は忘れない。















いつもより少ない口数に違和感を覚えながらも
もう名前の家の前についてしまう。



繋いだ手は離さないまま、名前はまたポロポロと涙を流す。


行きたくない。ここにいたい。


嗚咽混じりに名前は繰り返す。








自分の無力感にイライラした。


どうしようもなく、名前を思いっきり抱きしめる。



「ずっと待っててやるよ。連絡もうざいくらいしてやる。
向こうでも頑張れよ。俺もこっちで頑張ってから。
言っとくけど、新しい彼氏が出来たとかは認めねぇかんな。
俺はお前以外には興味ねぇからな。

だから、ちゃんと帰ってこいよ。」



恥ずかしいことを言ってるのは自分で分かってたから早口でまくし立てる。


泣きじゃくってた名前は、迷子になった子供みたいに困った笑顔を浮かべる。


「私だって一くん以外興味ないよ。」


少し顔を赤くして微笑むこいつが愛しくて
額から瞼、頬、そして唇へとゆっくり口付けいく。






俺の思いが伝わったのかは分からなかったけど、名前の涙はもう止まっていた。



「待っててね。」


鼻水をすすりながら、照れくさそうにこいつが言う。





ほんの少しの名残惜しさを残して、二人の手が離れていく。







また会おう。

その言葉とお互いの想いだけを頼りに、交わした約束を守るために。
























同じ道を手を繋いだ二人が歩くのは、
数年後のお話ーーーー。




(東京にね、岩泉っていう名字の人少なかったんだよ。)
(あ?お前ももう岩泉だろうがよ。)
(ふふふ、岩泉名前でーす。)
(………うっせ。 )



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岩さんは一途っぽいですよね。

岩さん、7mm伸びるといいですね(笑)


読んでくださり、ありがとうございます!

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