陽だまり
□雨のち晴れのち愛
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「ああ!蝶々さん、待ってよ!!………………むう。虫とり、難しい………」
網を片手におおもり山を駆け回るななしん。
ハァハァ、と息を切らしながら額の汗を小さな手で拭ったその時。
ぽつり、ぽつり、
「!!うわあ、雨だ!」
いきなり降ってきた雨により、ななしんの虫とりは中断されてしまい、慌てて神社の屋根下に入る。
「虫さん、捕まえてケータにあげようと思ったのに………」
実は、ななしんが虫とりをしに来たのには海より深ーい訳がある
時間は昨日にさかのぼる
ケータがカンチらと虫とり勝負をしていたのにも関わらず、ななしんはケータに勢い良く抱きついてしまった。
それに驚き、ケータが大声を出したので、ケータが狙っていたクワガタが逃げてしまったのだ。
ケータが虫とりをしていると知らなかったとは言え、驚かせてしまった事に謝るななしん。
ケータには笑いながらこれからは気を付ける様に言われたのだが。
結局、虫とり勝負に負けてしまったケータを見て、なんとかカンチにも負けないような虫を獲ろうと思ったななしんは、土蜘蛛にねだって虫とり網を買って貰い、虫が沢山いるおおもり山にきたのだった。
しかしこの雨。
虫とりはとても出来そうに無い
神社の下で、がっかりしながら空を見上げ続けるななしんに、一人の妖怪が声をかけた
「あの、ごめんなさい…………」
「ふぉえ??」