お祝い!

□バレンタイン
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今日、2月14日はバレンタインデー

いろんな人がそわそわする日だ


そんな日に僕は


街をぶらついている



時間は三十分程前に遡る


PCの一室に備え付けられているキッチン、折角だからそこを使ってチョコを使ったお菓子を作ろうと思ったのだけど…


朝日「今日は男子禁制です」

「ええ!?僕男じゃないよ!?」

翡翠「ごめん、優木はもっと駄目」

「酷い…!」

焔駆「ほらほら、ゆきちゃんも出掛けた出掛けた」

焔駆に追い出され(他の男性陣も一緒に)現在に至る

他の皆は各々何処かに行ってしまって、今は一人行動

ロケット団に狙われてる人が一人で出歩くのなんて危なくないか

こんな人混みではそういうこともなさそうだが

周りにはバレンタインデーという言葉ばかりが貼り出され、まるでお祭りの様に賑わっている

「本当は手作りにしようと思ったけど…」

キッチンを追い出されてしまってはどうしようもない

市販のでいいか、仕方ないし


しかし、女の子が必死にチョコを選んでいる姿は微笑ましい反面、凄い気迫で思わず冷や汗が出る

とりあえず比較的ゆっくり見れそうなギフト用の売り場へ

人数分買わないとだから大変だ


「ねぇねぇ、あのこ見て」

「何々?」

女の子達の会話が聞こえる

「可愛くない?誰にあげるんだろう」

「ええ?逆チョコ?それか…」

誰の話だろう、周りに男何ていないけど…

「話し掛けてみてよ」

「やだ、無理無理」

集中集中っと……

チョコ選びに集中する

「あ、あのう…」

「え?僕?」

後ろから話し掛けられて振り返る

念のために確認したらこくこくと頷く女の子

「な、何かな…」

「だ、誰にあげるんですか?」

「えっと…大切な人に」

何故こんなことを聞かれるんだろう

「お、男ですか女ですか?」

「え?女」

自分のこと…でいいんだよね?

何故か顔を赤らめて礼をし、女の子は戻っていった

さっきの会話をしていたらしい女の子達の元へ

「逆チョコだったよ」

「そうなんだ…!凄い」

何か勘違いされてる気がする

「まあいいか」


「いいなぁ、あんな人にチョコ渡されてみたい」

「優しそうだもんねぇ」


随分と時間を掛けて、漸く全員分のチョコを購入

店員さんにも好奇な視線を向けられていたけれど気にせずチョコの入った紙袋を抱えてPCへ




「よお、嬢ちゃん」

突然、肩を掴まれて立ち止まることになった

「…何ですか」

軽く睨み付けながら不機嫌オーラ丸出しで発言するも、男は鈍いのかなんなのか、気にする様子もなく続ける

「俺と楽しいことしない?」

「そういうの間に合ってるんで」

「いやいや、パーティーに参加するだけでいいんだよ
君女の子だろ?」

「そうですけど知らない人とパーティーとか絶対楽しめないんで」

めげずに誘ってくる男に本当に苛ついてきそうだ

「そんなこと言わずに、さあ」

「あんまりしつこいと警察呼びますよ?」

腕を掴んで引っ張ってくる男

「おい」

聞こえたのは物凄くドスの効いた声

「"俺の"もんに何か用か?クソ野郎」

突然のことに呆気に取られる

振り返るとそこには、あの飛由が凄まじい怒り顔で腕を組んで立っていた

「ひ、ひい…!」

飛由「はっ!情けねぇ声あげやがって
それでも野郎か?てめぇ」


「す、すみませんでしたぁ!」

とんでもない速さで逃げて行く男

でもこの凄まじい形相の飛由は確かに怖い

飛由「いつまで固まってんだよ」

「え…あ、ありがとう…飛由」

飛由「…やっぱお前、見るやつから見たらちゃんと女なんだな」

ちょっと失礼だと思ったけどまあ気にしない、どうせ女らしくないさ

「でも、どうしてあんないいタイミングで…」

飛由「…狙われてるやつを本当に一人にするわけねぇだろ
ずっと見てたんだよ」


「それってストーカー…」

飛由「…お前…」

軽く笑って誤魔化しておいた

「そういえばさっき"俺の"って…」

飛由「き、気のせいだ馬鹿」

「酷い…」

耳まで真っ赤なのは寒いから?

風邪とか引かないと良いけど


的外れなことを考えながら、他の仲間達の姿を見付けて、優木は大きく手を振った

「おーい」

月光「マスター」

砂塵「主ー!
大丈夫だった?変なことされてない?」


「されてないよ砂塵」

飛び付いてきた砂塵をしっかり抱き止めて返事する

淡里「さっきの男、血祭りにあげなくて良かったのか?」

「なんて物騒なことを…」

月光「いやいや、血祭り何て生ぬるい、毒殺しなきゃ」

「いろいろとやめような」

恐ろしい子達…一体誰が育てたんだ

あ、もしかして僕?

でもそんなこと教えてないぞ

飛由「そろそろPC戻るぞ」

「そうだね」




部屋に戻れたのは日も傾き始めた夕暮れ時だった


翡翠「ふふん、それじゃあ…」

せーの

翡翠・朝日・焔駆「どーぞ!」

「えーっと…
何で僕?」


ズゴーッ


意図を全く理解していない優木君

翡翠「本命だよ?嬉しくないの?」

「え?僕男じゃないし」

焔駆「相手が男とは限らないものなのよゆきちゃん…!」

朝日「そうですよ!」

「えー…」

女の子から本命貰っても困るんだけど…

「あ、そうだ
これあげるよ」

さっき買ったチョコを皆に配る

朝日「本命ですか?」

「ええ?市販のだし…
ただ皆には本当に感謝してるから」

砂塵「主、おれ達だって感謝してるんだからな」

月光「そうだぜマスター」


そんなこんなで、笑いあって皆でチョコを食べた

翡翠達もちゃんと飛由達に用意していた様で、沢山のチョコを囲んで談笑

もし、来年更に仲間が増えていたら
もっと用意するのが大変になることだろう

でもやっぱり皆には感謝しているから、ちゃんと用意したい


淡里「んで、下僕の本命は誰なんだ?俺様か?」

「それは絶対ない」

しょぼくれる淡里を無視して僕は全員を見渡した

この中…だろうがそうじゃなかろうが

一人だけを特別扱いなんて、出来るわけないじゃないか

「皆大好きなんだからさ」

飛由「ま、そうだろうと思ったぜ」

「あはは」




ハッピーバレンタイン!



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