09/26の日記

00:55
トール(消耗品)
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かれこれ一日と半分、彼女を見ていない。

部屋に入ると、窓もカーテンも締め切った暗い部屋、一人すすり泣いていた。

「…おい」

覗き込むと、どうやら寝ているようだ。

「…ちがゔの…ちがうのよぉ…」

また魘されている、決して話してはくれない、彼女の忌まわしい記憶のせいで。

「…少しでも、共有するのがいいんだぞ」

過去のトラウマや弊害は、溜め込むと悪化する一方だから。トールは寝ている彼女を起こさないよう、そっと抱きしめた。

魘されていると起こすべきか悩むところだが、それよりも、ただ子どもをあやすように背中を優しく叩いていたほうが良いような気がした。

「……、」

涙が引いた彼女の口から、聞き取れなかったが誰かの名前が呟かれた。きっと、昔の大切な人だろう。

「…俺がついているから。安心して、寝ろ」

おやすみ、良い夢を。たとえ束の間であっても、君のために尽くしたい。

そう願いを込め、そっと彼女の頬へ口付けた。

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