短編 置き場
□もしもシリーズ part 1 .
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勝呂くんは 吸血鬼らしい
「 らしい 」というのは 勝呂くんでなく志摩くんに聞いた話だからで、そして私は正直 勝呂竜士という男が苦手だ
目つきは悪いし
髪の色は不良みたいだし
喧嘩も強いって聞くし、
ほとんど見た目で判断してるけど
人を見た目で判断するなと言ったって あの見た目なら誰でも怖がると思う
なんか、その、ゴリラ ... みたいで
「 ぶはっ ゴリラて ... 名無しちゃんおもろいこと言うなぁ 」
隣でいきなり吹き出したのは 私に勝呂くんの正体をバラした男、志摩廉造
ピンク色に染められた髪は柔らかい印象を持つ彼にとても似合っている
そしてその気さくさからかあまり真面目ではない彼だが私はいい印象を持っていた
『 えっ、聞こえてた? 』
「 そりゃもうばっちり! 」
グッと効果音がつきそうなほどに親指を立て、にっこりスマイルを見せる志摩くん
『 なんかその顔腹立つ ... って あ 勝呂くんにはないし「 俺がなんや 」 』
いきなりの本人登場に、私はこれでもかと言うほど口をポカーンと開き ついでに目も見開く
バレたらヤバい
怖い怖い怖い怖い
なんて思いが胸を支配し、唯一の助け舟 ( 志摩くんは頼りにならなさそうなので除外 ) 子猫くんを探し 目を動かす
が、子猫くんは近くに居らず、勝呂くんに睨まれ 志摩くんは笑いを堪え 私は馬鹿みたいな表情で立ち尽くす、なんておかしな図が出来上がった
誰か通らないかと周りを見渡してみるも 生憎ここは祓魔塾の前の廊下で、誰かが通る気配はない
「 で、俺がなんや 」
勝呂くんはなんのことだか分かっていないようで、私にそう聞いてきた
その声色は想像していたより暖かくて 恐怖なんてものは感じない
が、この状況は絶体絶命 大ピンチ
逃げるために 勝呂くんの立つ所とは逆方向を向いて走り出した