Gokusen

□02
1ページ/2ページ

隼人と竜が仲直りして、前と同じ日常が戻ってきた。放課後、里奈は今日も黒銀へとやって来ている。



教室まで行ってもいいが、もう出てくるだろうと思って校門の前で待つことにした。冷たい風が頬を掠め、里奈は思わず目を瞑った。



『さむ…』



鞄につめこんでいたマフラーを取り出し首に巻いていると、3Dとは別の校舎から黒銀の生徒達がちらほらと出てきた。



初めの頃はこうして校門に立っている里奈を好奇の目で見る生徒もいたが、今となってはこれも日常なのか慣れたもんだ。さようなら、と挨拶してくれる生徒もいるくらいだ。



「あ…あの…」
『ん?』



声のした方を見ると、1人の生徒が立っていた。まだかわいさの残る顔立ちを見て年下だろうと里奈は思った。



「僕、2年A組の澤田って言います。里奈さん、いつも黒銀来てて…すごくかわいいなって思って…あの」



頬を赤く染めて一生懸命伝えようとしてくれているのが伝わり、里奈もそれをしっかりと聞いている。



「あの…また話しかけてもいいですか?」



こちらを伺うように自信なさげな瞳を向ける澤田に、里奈はにっこりと笑いかけた。



『もちろん。またお話しようね』



そう言うと、澤田は嬉しそうに笑った。手を振って澤田と別れてすぐに、里奈は右肩にずしりと重みを感じた。見るとそこに隼人の腕が乗せられている。



「…誰だよ、今の」



不機嫌そうな隼人の声。気づけば里奈の周りにはいつもの5人が集まっていた。



『2年の澤田くん』
「ふーん。まさか告られた?」



隼人に顔を覗き込まれ、その近さに里奈は一瞬息をするのを忘れる。



『違うよ、またお話しましょうって』
「相変わらずモテてんなー」
「年下からもモテてんのかよ!ずりぃ!」



つっちーが扇子で扇ぎながらにやにやと笑っている。日向も悔しそうに言いながらどこかにやにやしている。



「でも里奈ってよく黒銀の生徒に声かけられてるよね」



タケがそう言った瞬間、隼人がぴくりと反応した。そんな隼人を見てタケは余計なこと言ったかも、と思った。



「は?聞いてねーけど?」
『言ってないもん』



そのやり取りを見て竜が小さくため息をつく。



『でも黒銀の生徒ってみんな真面目でかわいいよね。さっきの澤田くんも…むぐ』



隼人の手が里奈の口を塞ぐ。



「いいから。行くぞ」



隼人は何事もなかったように歩き出す。里奈が頭にクエスチョンマークを浮かべていると、今まで話に乗ってこなかった竜が口を開いた。



「あいつ妬いてんじゃねーの」
『隼人が?まさか!』



里奈がぶんぶんと手を振って否定すると、竜がふっと小さく笑った。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ