Alice

□04
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ロキの言葉がリナの頭をぐるぐると回っていた。真っ先に狙われると聞いて、怖くないわけがない。



『(もし赤の軍が攻めてきたら、私…)』



そう考え、リナが俯きかけたとき…レイがリナの頬をつまんだ。



『へ…?』



リナは顔を上げて目の前のレイを見る。



「なに迷子の猫みたいな顔してんの」
『っ…してないよ、いひゃい』
「ま、これはこれでおもしろいけど」



レイが手を離したので、つままれていた頬をリナはそっと手で押さえた。



「安心しろ。お前を戦いの場には連れて行かないから」
『えっ、どうして?だって、黒の軍に力を貸すって…そういう取引でしょ?』
「お前の力を必要としてることに変わりはない。けど、ロキの言葉聞いてただろ?戦いの場に行ったらお前は真っ先に警戒されて…狙われる」
『…』
「お前はただの道具の盾じゃねーから。守らないといけない。だから…」



レイはリナの頭にぽんっと手を乗せると無造作に撫でる。



「お前の力を借りるときは、俺が決める」



レイの瞳が簡単には揺らがないことがわかって、リナは言葉をぐっと飲み込んだ。



『…わかった』
「ん。それで早速なんだけど、お前の力貸してくれない?」



レイの言葉にリナはきょとんと首を傾げる。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



そのあと2人は猫を抱いて兵舎に戻り、レイの部屋へと来ていた。



「お前、腹減ってたんだろ?そんな慌てなくていいって」
『(こ、これは…)』



ミルクを舐める飼い猫の姿を、レイはまるで蕩けるように見つめている。リナへの頼み事とは、キッチンからミルクを持ってくることだった。



リナは嬉しそうな顔のレイをじっと見つめる。



『ねえ、レイ』
「ん?」
『セントラルにはあんなに猫がいるのに、どうしてこの子だけ兵舎で飼ってるの?』
「いじめられてたから」



レイは飼い猫の頭をつんつんと指でつつきながら、言葉を重ねる。
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