事件帳

□むっつりの葛藤
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明智「…すまん。やっぱりなんだか疲れたから休ませてくれ…。急いでないんだろう?」


綾「あぁ!それなら大丈夫ですよ。甘いの買ってきましょうか?買いづらいでしょう。」




なんて気が利く良いやつなんだ。後はもう少しその無自覚の華やかさを無くしてくれれば、俺の心臓が助かる。と心の中で感謝し、喫煙スペースに向かう。




明智「…ふー……。」




やっと一人で考える時間が出来、落ち着く。九条は潜入捜査をしていただけあって、賢い。おまけに綺麗な顔立ちだと思う。惹かれるのは仕方がない。




(待てよ?帰りもこんな葛藤をしなければいけないのか!?しかし、そこにあるものを見ないのは勿体ない…。)


明智「いや、落ち着け…。九条がいくら相棒で冗談が通じる奴だと言ってもここまで勝手にジロジロ身体を見られたらいい気分はしないよな…。」


綾「…。明智さん…?あのー?聞こえてます?」


明智「九条!?お前、いつからそこに!?」


綾「ふふっ…今です。何度か呼んだのに、ぼーっとブツブツ何か考えてる様でしたので、どうしようかと。」




そう言って少し笑う。思わず見惚れる。




(…お前、なんでそんな!!)


綾「運転疲れたなら代わりますよ?昨日は家が酷かったとか言ってませんでしたっけ。」


明智「…あ、え?ああ、酷かった。いや、良いよ。お前も疲れてるんだ、車の時位休め。」


綾「そうですか?では、お言葉に甘えさせてもらいます。」




危なかった。それこそ運転なんかさせたら俺は見放題じゃないか。女性のシートベルトもいろいろ危険だ。




明智「九条。終わったらケーキ買いに行かないか?」


綾「良いですね…行きましょう!」


明智「皆にも買って行くか。」


綾「はい。そうと決まれば急ぎましょう。翼ちゃんにはちょっと高いやつ買おうかなー!」




元気よく返事をし、明らかに機嫌が良さそうに歩き出す。その後ろ姿を見つめ、少し心音が早いことに気づく。



明智「相棒、か…。お前は俺をどう思ってるんだ?九条。」



厄介なことに下心満載で彼女を見ている。聞こえない程小さくつぶやき、また葛藤を繰り返すであろう車へ向かう。



明智「……変な想像をしなければいいよな。見てるだけなら…。」



俺の中のやましい気持ちは決して彼女を傷つけたい訳じゃない。ただ、その目に俺を映して欲しいだけで。





明智「俺を見てくれたら最高だな。」





END
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