事件帳

□いちゃいちゃシリーズ1
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綾「汚い!先週掃除とか済ませたのに!!」




つい数日前に掃除や洗濯をしたばかりの彼の部屋に大声を上げる。




綾「…まだ今日で三日しか経ってないのに。」



泪さんは仕事が出来る人だが、忙しいのもあって衣服やらは脱ぎっ放しがほとんどだ。




穂積「おー…なんだ、なんかあったか?」


綾「なんか、というか…ですね。これは、その…ひどい!」


穂積「あぁ…本当は今日片付けようとしたんだぞ?けど、誰かさんが会いたくて仕方なくて来た、とか言うから涙を飲んで任せてる。」


綾「…私のせいですか!!」


穂積「お前以外誰か居るんだよ。」




この人はすぐに私で遊びたがる。仕事中も、プライベートも。

しかし、きっちり分ける人だから、からかい方は違う。仕事ではただの暴君だ。




穂積「綾、終わるか?」


綾「終わらせないとご飯食べれませんから。」


穂積「食欲か!…俺は別にベッドは空いてるから綾を食えるし、どうでもいいけど。」


綾「食事の話をしてるんです!!泪さんの方は知りません!」


穂積「だから、食事だろ?内容はズレて無い。」


綾「すぐそういう…」


いつものあの獲物を獲る目に気付き、とっさに掃除機を構える。こうなったら軽く流すのが得策。




綾「明日出かけるのに、このままじゃ、また来週散らかります!せめて脱いだものはどうにかして下さい。」


穂積「分かった分かった。」




と、面倒くさそうに手を上げ、寝室に戻っていく。

実行してくれたらどんなに楽なのか。しかし、泪さんの仕事の大変さは知っているから、少しでも力になりたい。




綾「終わったー!予定より早く終わって良かった…。」


穂積「終わったか?ありがとうな。ほら、ご褒美。」


綾「わ…。美味しそう!いつの間に…。ありがとうございます。」


穂積「気に入ったなら良かった。食え食え!」




今片付いたばかりのソファに二人で腰掛け、私だけケーキを頂く。




綾「美味しかった…。幸せ…。」


穂積「そうかー!…食ったな。一口残さず。」




ニヤリと口を歪ませ、なんとも意地悪な顔が迫る。




綾「しまった!!罠!」


穂積「アホめ!もう遅い!!」


綾「パワハラ反対っ!!セクハラ!!」


穂積「アホか!彼氏にセクハラとか言う彼女見たことないぞ!」


綾「私は言います!!ってちょ、ちょっと!泪さん!!?」




ソファの上に組み敷かれ、心拍数が上がる。当の泪さん本人は私の胸に顔を埋め、涼しい顔をしている。




穂積「…さて、どういたずらしてやろうか。」


綾「もう十分いたずらしてます!明日朝早いし!!」


穂積「んー?もっといたずらしてください?そんな顔して誘ってるようにしか見えませんねー。」




チュッとそのまま首筋に口づけ、見下ろされる。いつものあの悪魔の微笑みで。



綾「っん…泪さん!!」


穂積「何を恥ずかしがって…今更だろ。俺は綾の全部を知ってる。お前ももちろん。」


綾「う…もうやめて下さい。」




恥ずかしくなり、顔を背ける。しかし、その瞬間、先ほど口づけた場所に唇を這わせてくる。


(これは逃げられない…。)
そう悟った時には遅かった。




穂積「掃除した褒美に、ケーキをやった。だからケーキを買ってきた褒美を俺にくれ。拒否権なんてあると思うな…。綾がエロい顔するからいけない。」


綾「してません!無茶苦茶!エロ悪魔!!」


穂積「ほぉ…言うな。お望み通りにしてやる。」




しまった、と思った瞬間泪さんの手が足に伸びてゆっくり撫でられる。


もちろん嫌ではないけど、こうも墓穴を掘る自分が憎くなる。




穂積「諦めろ、たくさん愛してやるから。」


綾「んぅっ…。」




無言で頷き、泪さんの息遣いを感じながら目を閉じた。





END

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