事件帳

□むっつりの葛藤
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俺の名前は明智誠臣。元SATで、今は緊急特命捜査室に所属する警察官だ。

今、窮地に立たされている。SATの時もこれまでも、ここまで追い詰められたことはない。




明智「っ…。」




まずい、集中力が切れる。タバコに火を付けようか悩む。相棒が出来てからと言うもの、彼女の為に吸わないようにしているし、吸わなくてもなんとかなってきた。




明智「…九条、少し良いか?」




いや、そもそも今俺がこんなに追い詰められているのはその相棒のせいだ。男の性には逆らえないのだから。何を隠そう今は運転中だ。しかし、注意力散漫で正直今すぐ降りてしまいたい。




綾「はい?あ、明智さん前見ないと危ないですよ!」


明智「え!?ああ…。」
(だから!!足を組むな!!何故今日はスカートなんだ!?いや、試練か、俺の精神を鍛えるための!!試練なら耐えるが誘惑が…!!)


綾「…明智さん。顔色良くないですけど?それから、スーツに糸くず付いてます。ほら。」


明智「っす、すまん!あ、いや!?ありがとう。」
(近いっ!!なんというか全体的に近い!あ、いや車だからか…。)


綾「何か隠してます?挙動が不審ですが…。」


明智「…っき、気のせいじゃないか?何処まで送れば良いんだったっけ。」




少し早口になりながらなんとか応える。まさかお前の事を考えていたなんて言えるはずもなく。そう、先ほどからチラチラ見える腿に、視線が行ってしまうからだ。理性と闘うのがつらく、いっそ逃げ出したい。




綾「新宿です。資料取りに行くだけですので、待ってて貰えますか?けど、スカートのスーツって落ち着かないですね。いくら外部だからって面倒で…。」


明智「新宿西署だったか、気を付けろよ。若い女性職員に目がない職員がいるんだろう?」


綾「あー…大丈夫ですよ。その人、女性職員ですから。ただの目の保養にしてるってだけらしいです。」


明智「は…?いや、なら良いんだ。」
(良いのか?いや、万が一同性であってもこいつが何かされる可能性がゼロではないだろう!?ほら、何せ魅力的でこの俺でさえ理性を保つのに必死だ!!決して触りたいなどとは思っていないが!!)


綾「……。」


明智「っ…なんだ?その疑う様な目は。」




こちらを見つめ、疑いの視線を向けてくる。その表情さえも可愛いと思う俺はそうとうキてるのだろうか。しかし、付き合っても居ない女性をジロジロ見るのは…。




綾「明智さん、やっぱり今日は様子がおかしいですよ。熱でもあります?」


明智「いや?平熱だ。そして、俺は平常心だけど?」


綾「いや、平常心かどうかは聞いてません…。」




しまった、口が滑った。こいつは鋭い。足を見ていたことがバレたら引かれる。




明智「よし、喉が乾かないか?ああ、そうだあの辺りにコンビニが有ったな。寄るか?」


綾「え?さっき買ったの残ってますよ!?」


明智「あ…そうだな…。」

(この際バラしてしまうか!?いやでも…っておい!!なんでそこで足を組み直すんだ!?スカート短くないか?いや、そうでもないか!しかし色白だな…ってそうじゃない!!!)
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