事件帳

□明智VS小野瀬
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明智「九条か、お疲れ。」


綾「明智さん!ここでしたか。……誰でも美味しく和風逸品?」


明智「ああ…これか。メニューの参考にもなるし、 弁当にも良いしな。」




休憩室に入ると明智さんがソファで紅茶を飲みながら真剣に本を読んでいた。隣に座り、題名を読み上げると少し照れたように説明をしてくれる。




明智「っと…少し、じっとしてろ。」


綾「…っ!?」



明智さんの端正な顔が急に近づき、その手が私の髪を撫でる。




綾「っあ、あの…?明智さん!?」


ドキドキしていると、優しい声が笑いを含んで降ってくる。


明智「ははっ。お前、一体どこまで捜査に行ってたんだ?」


綾「…あー、そういえば、穴の空いたフェンスを通った…ような。」


明智「髪ぐしゃぐしゃじゃないか。相変わらず勇ましいというか、なんというか。」




その瞬間、髪を直されたのだということと、乱れた髪のままでいたことを察する。恥ずかしさで居た堪れない気持ちになった。




綾「もう本当に…。あの親子丼ちゃんがおてんばで…あ、チワワです。」


明智「親子丼って、犬に付ける名前なのか…。まあ良いか、お前の髪気持ち良いな。しっかりケアをしている証拠だ。」


小野瀬「あれ、二人して休憩?…にしては明智くん、妙に近いね。」


明智「!?あ、す、すすすまん九条!!」


綾「え、いえ!?」




小野瀬さんの声が頭の上から聞こえ、振り返る。私の肩に手を置き微笑んでいた。思ったより近くに顔があり、驚き身を引いてしまう。




小野瀬「そんなに慌てなくても。明智くんがスケベなとこしそうだったから助けに来たのに。」


明智「スケベなのは小野瀬さんの方じゃないですか?」


小野瀬「あれ、もしかして邪魔したから怒ってる?せっかく休憩時間、九条さんと二人きりだったのにって。」


明智「俺は誰かとは違いますから!女の子にみだりにちょっかい仕掛けたりしませんので!」


小野瀬「いつもの余裕忘れてる気がするけど?」


明智「そうですか?小野瀬さんこそ、いつもは俺が他の女の子と居ようが邪魔はして来ませんよね。」


綾「……。」




あっという間にヒートアップし、いつの間にか立ち上がった明智さんと、それに対応する小野瀬さんの言葉にトゲを感じる。




綾「お二人とも…、って聞いてくれるわけないけどね。」




私は小さく溜息をつき、どうなだめようか考えた。
もともと性格的には反対側に近い二人。室長とはまた違って張り合ってしまうのだろうか。




明智「俺の相棒ですから、あんまり変なちょっかい出さないで貰えますかね。室長も怒ります。」


小野瀬「やれやれ…妹の方はガードが堅いかと思ったらお姉ちゃんもか…。それより九条さん、少し痩せた?」


綾「…え、ちょ!」




顎に触れ、鼻が付くのではと思うくらいの距離で顔を覗き込まれる。まずい、この人のペースになってしまう、と顔を背け、無理矢理仕事とモードに切り替える。



綾「…はぁ。もう良いですか!?ここ、意外と他の課の方も来るので、やめてください。それから何回目ですか?次あったら流石にキレます。では戻りましょう。」


明智、小野瀬「…。」




ピタっと静かになったので、二人を見ると、視線で喧嘩していた。
これは駄目かもなどと、呆れていたが、ふと二人とも日記を書いていたことを思い出す。


(なんだか書いてる内容を、知りたいような、恐ろしいような…。まさか今日の事も…?)



少し落ち着いて二人にされたことを思い出す。


(ちょっと待って、あの距離普通に嬉しいはずなのに、あの人にも見られてた訳で…。複雑…。)



明智「九条、小野瀬さんに絡まれたら俺を呼んでくれて良いからな。」


小野瀬「九条さん、明智くんは真のムッツリだから気を付けた方が良いよ。」




私の心を乱す、彼を見つめる。どう思っているのか知りたいが、今はしまっておこう。

綾「知りませんよ、もう!」


恋心とオンモードの緩みを牽制するように、そう叫んだ。



END

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