書物

□サタンはお疲れ
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あの後ゆっきーやかぐやちゃん達に連れて行かれた王道君。

生徒会室はまるで嵐が過ぎ去った様に静まり返った。
王道君は生徒会室を出る寸前まで俺を連れて行こうとしていたが、まだ仕事が残っている、と会長に言われ納得のいかないまま引きずられていった。

「シロちゃーん、ありがとぉ」

「いや、迷惑そうな顔してたからな。それに期限近い書類もあるだろ」

「うん、ギリギリだったから助かったよぉー」

へらへら笑いながら手を振る
けど本当に助かった…アンチ王道も割と好きなんだけどいざ自分が関わるとなると苦手なタイプだよなー…

はっ、これはもしかして……会長受けフラグを折ってしまったのでは!?
あれですよね、完全に、王道君にうつつを抜かす生徒会役員をリコールされないように会長が頑張るんだけど倒れて平凡君に完備され恋に落ちるとかそういう感じの………!!

「どうした?ぼーっとして、コーヒーでも淹れるか?」

「あ、いえいえ!自分でやりますよぅ!会長はお気になさらず〜」

そうして給湯室に入る。

(やってしまったぁぁぁぁあああ!!?)

もうダメだ…会長受けじゃないとすればこれなんだ…?
そういえばさっき会長も割とぼーっとして居たような………………はっ!?これは会長×副会長とか!?

「俺と言うものがありながら、なんでアイツのこと構うんだよ…」

的なね!?!?

俺専用の某凶暴クマのマグカップにコーヒーを淹れて、会長の分も淹れるか、とカップを取ろうとした

「………棚高いとこにあり過ぎないか!?」

そう言えば最近新調したって言ってたな、トラの為にとかなんとか………

「ぁ、キャラ忘れてたわ……えーっと………どうしましょぉ…」

これは割と問題だ…いくらジャンプしようと背伸びしようと全く届かない。
俺そこまで小さくないんだけどなぁ…

因みに棚は2.5mくらい。多分。
背の小さい人用にカップを置く場所、高い人用に置く場所があってもちろんトラは高い方。棚にはその他来客用のカップ、茶葉、コーヒー豆などが入っている。

「くそ…トラの巨人族め……あ、そっか!イスの上に立てば届くじゃん!」

給湯室は休憩室も兼ねていて、俺の脛くらいまでの椅子が二つに三人掛けのソファが二つある。
ここで会長がセフレとにゃんにゃんしてれば良いのになーなんて妄想は何度したことか。

そんなこんなで椅子を設置。

「よし、取れつゎぁあああ!?」

カップを手に取った瞬間、足がグラついて椅子から落ちた上にカップを盛大割ってしまった。

「ぃ、てて…」

「おい、大丈夫か!?凄い音がしたけど…」

「ぁ、シロちゃ…ごめ、カップ割っちゃって…」

「そんなことより怪我は?っていうか動くな、危ないから。今掃除用具持ってくる。」

おぉ…なんて寛大なんだ……
なんか妄想するの悪い気がしてきた…

「本当に怪我してないんだな?」

「大丈夫!ちょっと背中は打ったけどぉ、これくらいなら平気だよぅ!」

片付け終わってから来客用のカップで会長にコーヒーを淹れてから生徒会室に戻った俺達は、それぞれの机に座りながら話していた

「背中打ったって…一応湿布とか貰っといた方がいいんじゃないのか…?」

「そーぉ?でもなぁ…保健室、あんまり…」

そう、保健室にはこれまた王道な感じの、可愛い男の子なら誰でもイケるぜって保健医がいるので…

「つべこべ言わずに行け。会長命令」

「はぁい…」

ゆっくり、背中に衝撃を与えないように立ち上がりトボトボとドアへ向かう。

そうなんです、実はこれめちゃくちゃ痛いんです。
多分痣、酷いと打ち身?

あぁ…憂鬱です。
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