SHORT

□【傷】
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「ユウキ」

「待て、散々食わせただろ」

「俺も出す時の光惚とした感覚を味わいたい」







世界の魂の数は決まっている。

人、虎、蟻、魚…全てを合わせた数はいつも変わらない。

ただ、その中でも世界の進化の過程で予定より急速に増えている種がある。



…人間だ。



人間が規定数をオーバーしだして調査をした結果、その原因が本来あるべき寿命の超過にあると分かった。


死ぬ筈のタイミングで死なない。

そんな奴らを間引くために俺達死神は存在する。


















【傷】

― 誰かの痛みと、ほんの些細な痴話喧嘩。



















鬼丸悠希は、そんな中で出会った人間。

魂は限界に悲鳴を上げていたのに死んでいなかった。

存在維持の為に、普段は規定数の範囲内での魂狩りを許されている俺達…死神。だが、『間引き』の間は対象者以外を口にできない。

あの頃、鬼丸悠希(享年19)を狙った俺はかなり飢えていた。


…だからこそ今があるのだけど。


「ユウキ」

「…早くしろ」

「ああ、勿論する!!」



今では鬼丸悠希は俺の大切な奴。

本当は俺の体液によって死んだはずだった。

俺達死神に食われた魂は浄化、リセットされ、またどこか地上で発生する。


けれど、鬼丸悠希は俺の体液で死ぬどころか死神化して、魂がリセットされなかったんだ。

そのうちに葬られた体が天界へ…

するとユウキは体を取り戻してしまった。


人間の魂を持った死神。


そして人間と交わった俺も、どうやら人間の血を持ったようだ。


…死神にある筈のない感情と一緒に。








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