Moonglow 〜螺旋状のサヨナラ〜(from マジすか学園)

□『接触』
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人生を生きている内は、人間それぞれに "モテ期" と呼ぶ時期が三回ほど訪れるらしい。



何故、いきなりそんな話をするかって?



理由は簡単。



今まさに、その "モテ期?" と呼べる状況が、この男に訪れているからだ…






大歌舞伎「へぇ…結構、可愛い顔してるね君?」




「…は、はぁ」




子歌舞伎「…やべぇ」




尺「どうした?」




子歌舞伎「あ、姉貴が…滅多に見せない "女" の顔になっている…」




尺「嘘だろ…」




士は困り果てていた。



目の前に居るラッパッパ全員に、ここに来た経緯や何やらを説明しようとした矢先…




大歌舞伎「士君だったっけ? 今、彼女とか居るの?」




「…へぇ?」




こういう状況だからだ…




おたべ「アンタ、そろそろ止めとき。この二人も相当嫉妬してるみたいやからな…」




おたべはそう言って、チームホルモンの方へと視線を向ける。




バンジー「…まただよ」




ウナギ「お〜い、お前らぁ?」




大歌舞伎「なに…私と一戦交わしたいの?」




ヲタ「…い、いえ」




ムクチ「………」




戦う事なく、呆気なく敗れ去ったヲタとムクチ。



他のチームホルモンの面々も、その二人の様子に呆れ果てる。




「あの…」




大歌舞伎「どうしたの?」




「そろそろ、降りてもらえます?

…俺の膝から」




大歌舞伎「えぇ…」




おたべ「ええ加減諦めた方がええと思うで? そこの士君、今好きな子居るらしいから、どんだけアプローチしても無駄やと思うわ」




「えっ…ちょ、ちょっと!?」




大歌舞伎「…そうなの?」




困り顔の大歌舞伎が目の前に映り、士は更に動揺する。




「えっと…それは…」




子歌舞伎「ほら、姉貴。諦めましょう…」




大歌舞伎「えぇ…」




色々と手間取ったが、子歌舞伎が大歌舞伎を落ち着かせ、士はやっと解放され、安堵につく。




「ふぅ…」




センター「なぁ、そろそろ話してもらってもいいか?」




端の方でネズミと共に突っ立っているセンターが鋭い目で、士に催促を促す。




「もちろん、分かってるよ。さて…何から話した方が良いかな?」




おたべ「…とりあえずは、一度ちゃんと自己紹介したら?」




「そうだね…今思ったら、ちゃんとした挨拶して無かったし。

じゃあ、改めて自己紹介します。俺は神矢士、年は…皆と一緒で良いのかな?」




おたべ「まぁ、そうでええんちゃう?」




「…なに、その意味ありげな言い方」




おたべ「…気にせんと続けて」




士の頭には、妙におたべの言い方が引っかかってるが、何とか意識を振り切って話を続ける。




「…ここに来る前は、西幡高校っていう普通の高校に通ってて、暫くヤンキーとは無縁の学生生活を送ってました!」




学ラン「…なぁ、士。一つ聞いていいか?」




「なに?」




学ラン「 "しばらく" って事は、お前…昔はヤンキーだったのか…?」




学ランの質問に、ネズミとセンター、おたべ、そしてゲキカラ以外の全員が士に集中する。



特に尺と歌舞伎シスターズに関しては、口がガラ空きになっている…




「そうだね。…ネズミちゃん、皆に説明して欲しいんだけど?」




ネズミ「…だから、"ちゃん" 付けは止めて…下さい。それに、なんであっしが説明を…」




「あ、じゃあ言うつもりは無かったけど言っちゃおうかなぁ…あの事を。笑」




士の言葉の意味を理解したのか、ネズミはバツが悪そうな顔をする。




ネズミ「…わかり…ました」




ネズミの口から出た言葉に、チームホルモンも開いた口が塞がらなくなった。



あの、ネズミが普通に敬語を使った…



いつもならおちょくった感じの敬語なのだが、今の士に対しては、一ミリたりともそのおちょくる雰囲気すら無い、普通の敬語を使った。



その事が、ホルモンの面々には驚きを軽く超えてしまっていた。




尺「ネズミ、何知ってるんだ?」




ネズミ「そこに居る士さんは、西幡高校って至って普通の公立校に通っていましたけど、その前の中学時代。

士は関東一のヤンキー校として、その名を知らない人は居ない。そう恐れられていた中学に居たんでやんすよ。」




学ラン「…え?」




ヲタ「関東一、恐れられていた…?」




大歌舞伎「もしかして、それ…」




ネズミ「そう。何を隠そう…あの、"麟堂中学校" 。…その元テッペンなんすよ、このお方は」
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