射止めたのは…
□第一話
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「お願いします」
そう言って私は、目の前に座っている彼に一冊の本を手渡す。
「はい、わかりました」
本を受け取った彼は黒子テツヤくん。
今はお昼休み。
図書委員として受付に座っている彼は慣れた手つきで貸し出し作業を進める。
お昼休みということもあってか、図書室には私と黒子くんの二人しかいない。
図書室は本が集まる宝庫。
ここの雰囲気も匂いも音も、私は全部好きだと思う。
ふと、窓の方へ視線を移せば青い空が見える。
どこまでも続く青い青い空。
今日は天気が良いなぁ〜…
ボーっと空を見ていると黒子くんの透き通るような声が聞こえた。
「巴川さん、終わりましたよ」
空から視線を外し黒子くんを見る。